第32東京国際映画祭「Japan Now」部門上映作品『タロウのバカ』のQ&Aが10月31日(水)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、大森立嗣監督、YOSHIが登壇した。
この1年の日本を代表する作品を、映画祭独自の視点で選考した「Japan Now」部門。『タロウのバカ』は、タロウ、エージ、スギオ。刹那的に生きる3人の少年を描く、純粋で過激な問題作。生まれてから一度も学校に通ったことがない主人公・タロウを演じるのは、本作が俳優デビュー作となる16歳のYOSHI。菅田将暉と仲野太賀が、タロウと行動を共にする高校生のエージ役とスギオ役を演じる。大森立嗣監督が20年余り前から書き温めていたオリジナル脚本による、渾身の一作に仕上がっている。
MCからこの作品は大傑作ではないかという質問に対して、大森監督は「自分で大傑作というのもあれだけど(笑)かなり手応えというか、やりたい事をちゃんとやったと思います」と笑顔で返答。また、デビュー作『ゲルマニウムの夜』を撮る前からこの作品の脚本は作られていたといい、この映画をずっと撮りたいという思いが続いていたのと、この国の状況が約25年前と本質的には変わっていないから作れたと思うと語った。
本作が初めての映画出演だったというYOSHI。感想を聞かれると、「1人でタロウができたっていうよりも、監督の熱意だったり、みなさんの協力のおかげでこの作品ができたと思っています」とコメントした。
どのようにして(YOSHIを)見つけられたのかを聞かれると、大森監督は「Googleで14歳有名人と検索したんですよ。そうしたら1番下の方にこの生意気な少年が出てきて、彼に会いたいと言ったのが始まりです笑」と答えた。その後、初めて会ったとき自分の気持ちを全開にだすYOSHIに大森は惚れ込み、この子と仕事をしたいと心の中ですぐに思ったという。
それに対し、YOSHIは「今の人達って型にはまってるんですよね。僕が審査員側だったらお前らは何をしにきたんだって思うわけですよ。自分の本当の姿を隠す必要はないし。だから僕はいつも通り行ったんです」とコメント。これを聞いた監督は「平たく言うとこの映画が伝えたいのもは、まさにそういうことですね」と付け加えた。
最後にYOSHIは、「人生に目的を持ち、人間は死を受け入れて毎日いつでも俺は死ねるっていう気持ちでいたらもっと素敵な世の中になると思う」という言葉で締めくくった。
【写真・文/北村優雅】
「第32回東京国際映画祭」は2019年10月28日(月)~11月5日(火)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場ほかで開催!
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