第32東京国際映画祭「コンペティション」部門上映作品『わたしの叔父さん』のQ&Aが11月3日(日)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、監督・脚本・撮影・編集を勤めたフラレ・ピーダセン、イェデ・スナゴー、プロデューサーを務めたマーコ・ロランセンが登壇した。
世界115の国と地域から応募された1804本の長編映画の中から、厳正な予備審査を経た14本の作品を上映する「コンペティション」部門。『わたしの叔父さん』は、若い姪が年老いて体の自由が利かない叔父の面倒を見ている。ふたりは家畜の世話をしながら黙々と日々を過ごす。しかし姪には獣医になるという夢があった。静かで美しい映像のなかにユーモアも漂い、ヒロインの選択に胸が締め付けられる愛の物語。
最初の挨拶でピーダセン監督は、「この映画が、東京国際映画祭のコンペ部門に選ばれたということで、非常に栄誉に思っております」と挨拶。さらに東京の印象はどうかと言う問いに対して、スナゴーは「東京は大好きです。私たちにとってはとても大きな都市なんですけれども、割と静かで穏やかな街に感じます。また人々も本当に優しくていいなと思います。この前カラオケにも行きまして、とても楽しかったです」とコメントした。
無言のシーンが多くある本作品。撮るのは難しかったかという問いに対し、ピーダセン監督は沈黙のシーンの方が容易であったといい、続けて「今は、台詞の多い映画が多いと思います。しかし私は、このシーンに台詞はいるんだろうかということを考えながら、台本を書いていました」と語った。
また農場での撮影ということで映画の中でも動物を映し出すシーンが多く、動物が登場するシーンを入れたことでどのような効果を狙ったのかという問いがあがった。それに対し、ピーダセン監督は「自分が生まれ育った地域で映画をつくることが夢でした。その中で牛や豚、他の動物の違いも見せたいと思っていました。そして、いまだに伝統的に農業を営んでいる小規模農家の人達の歴史的なポートレートを作りたいという気持ちでした」とコメントした。
また動物と多く共演したスナゴーは、この映画で使われた農場は、自身の実の叔父の農場であり、小さい頃よく遊びに行っていた事を明かした。そのうえで「その様な経験があり動物が大好きなので、この撮影は喜びでした」と笑顔で答えた。
この映画に出てくる叔父は、スナゴーの実の叔父であったといい、叔父との共演はどの様な体験だったかという質問に対し、「素晴らしい経験でした。(叔父は)もともと無口な人なので、昔はあまり話をしなかったのですが、この映画でより近しくなりました」とコメントし、また2人の朝のルーティーンもできたという。
最後にフラレ・ピーダセンは「東京で私たちの映画を上映できる素晴らしい機会をいただいてありがたく思っています。映画を作るということも喜びなんですが、実際に観客の方に見ていただいて皆さんの反応を感じるということはベストな部分だと思っています。この様な機会をいただいてありがとうございました」とメッセージを送った。
【写真・文/北村優雅】
「第32回東京国際映画祭」は2019年10月28日(月)~11月5日(火)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場ほかで開催!
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