第32東京国際映画祭特別上映作品『帰郷』の舞台挨拶が11月4日(月)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、仲代達矢、常盤貴子、北村一輝、田中美里、杉田成道監督が登壇した。
フランス・カンヌMIPCOMでアジアの作品として初めてワールドプレミアに選出された史上初の8K時代劇。作家・藤沢周平が一人の老渡世人の姿を描いた傑作短編を、役者・仲代達矢をはじめ豪華キャストで映像化。
舞台挨拶前には、仲代へ特別功労賞が贈呈されると共に、常盤から花束が渡された。仲代は受賞について「長い間70年近く役者をやっていて本当に良かったと思っています」とコメントした。
『帰郷』を見た感想として仲代は、「自分で出ていながら、一種の非常な感動を覚えました。何十本となく時代劇はやってまいりましたが、出演している私が感動を覚えたということは、今までやったことのない時代劇だと思っております」と述べ、監督やスタッフ、共演者を称賛した。
杉田監督は本作品のテーマは「人が祈る」ということだと明かした。続けて、「人は神様に祈るのと同時に、人は人に何か祈るのではないかなと思いました」と語り、それが伝わるよう音楽にもこだわったという。
撮影中のエピソードを問われた仲代は、杉田監督に色々なパターンを要求されると明かし「これほどの歳がいってる役者が、新人のような気持ちになって演出を受けております。ありがとうございます」と笑いながら答えた。これに関して常盤は、スタッフが見ていて胸が苦しいと裏で話しているくらい監督が何度も仲代に要求していたことを明かし、「それこそが、『北の国から』の杉田監督なんだなと、私は間近で見れた気がしてすごく嬉しい瞬間でもありました」と笑顔でコメントした。
さらに北村も監督に対して、「本当の鬼は笑っているんだなと思いました」とコメント。北村自身も馬を乗るシーンで大変な思いをしたといい「これだけ大変な現場もそうそうないなと(笑)でも本当に幸せな時間でした」と笑顔で語った。田中も大変な撮影だったと明かす一方、杉田監督の笑顔を見るとやらなきゃと思ってしまうようで、「女の狂気はそんなものじゃないと、しごかれました(笑)」とコメントした。
最後に仲代は、「この映画は非常に人間を描き、ある意味では哲学的な映画だと思っております。もちろん娯楽の部分はありますけれども、娯楽的なものばかり要求されている映像の世界では珍しい作品だと思います。是非皆さん宣伝してください」とコメントし締めくくった。
【写真・文/北村優雅】
「第32回東京国際映画祭」は2019年10月28日(月)~11月5日(火)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場ほかで開催!
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