東日本大震災時の福島第一原発事故を描く映画『Fukushima 50』で日本映画としては初めて、米軍が撮影に協力していることが明かされた。
原作は、90人以上の関係者の取材をもとに綴られた門田隆将渾身のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)。2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災発生、そして福島第一原発事故。現場では何が起きていたのか?何が真実なのか?浮き彫りになる人間の強さと弱さ。死を覚悟して発電所内に残った職員たちは、いかにしてこの未曾有の大事故と戦い続けたのか―。福島第一原発1・2号機当直長の伊崎利夫役を佐藤浩市、福島第一原発所長の吉田昌郎役を渡辺謙が演じる。また、吉岡秀隆、安田成美と日本を代表するキャストが名を連ねる。
今回、本作で日本映画としては初めて、米軍が撮影に協力していることが明かされた。2011年当時に実施された被災地を支援する米軍の「トモダチ作戦」“Operation Tomodachi” が本作でも描かれ、2019年1月28日、在日米軍横田基地において日本映画としては初めてとなる撮影が実施された。作戦会議のシーンを撮影するために施設内にある実際の作戦会議室が貸し出されたほか、米軍所有のヘリ「UH-1」を実際に飛ばし、東北支援に向けて発進する迫力のシーンが撮影された。
撮影に際し、米国防総省(ペンタゴン)への申請および許可が必要となるが、日本映画では実績も交渉ルートもないため、許可を得るのはまず不可能である。多くの米兵が関わった「トモダチ作戦」をリアルに再現することに理解をした米国大使館関係者の協力で、米側安全保障チームと粘り強い交渉を続けた結果、撮影の許可が下りるに至った。在日米軍横田基地第374空輸航空団(374th Airlift Wing)の将校ジョニーを演じるのはダニエル・カール。福島にゆかりのあるキャラクターとして、いつもとは違うシリアスなダニエル・カールを見ることができる。劇中には基地内で募集された本物の米兵がエキストラとして多数出演している。
また、当時総理大臣が自衛隊の要人輸送ヘリで福島第一原発(イチエフ)を緊急訪問したが、そのシーンを再現するため、通常は皇室や総理大臣など国内外要人の移動に使用される輸送ヘリ「ES-225LP」“スーパーピューマ”が登場、総理役の佐野史郎が同ヘリに乗った。さらに、空から建屋の放水を行ったCH-47JAヘリコプターの撮影も行われ、放水シーンでは、当時の作戦に従事した隊員が協力し、機体内部の被ばくを防ぐアクリル板や装備等も忠実に再現された。
主要な舞台となる福島第一原発の中央制御室や緊急時対策室のセットなども寸分違わぬリアリティの追及のもとで制作されており、世界的な大事故の伝えるべき真実のため、細部に至るまでスタッフのこだわりが見て取れる。
ダニエル・カール(在日アメリカ軍横田基地将校役)コメント
『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)の製作に携わったすべての人に成り代わり、この場を借りて在日米軍の皆様に感謝の意を伝えたいと思います。いくつかのシーンを撮影するに当たり横田基地を実際に使用させていただき、また現役の空軍兵の方々にエキストラとして参加していただくなど、快くご協力いただいたことに感謝しております。今回の映画は、実際日本の米軍基地 内 での撮影が許された最初の映画であると思いますし、その映画に関わらせていただけたことを光栄に思います。個人的にも基地での撮影はとても楽しいものでした。みなさん、とても気さくに私の質問にも応じてくれて、貴重な経験をさせていただきました。そして、どうやったら軍人らしい立ち居振る舞いになるかなどを教えていただいたアドバイザーの方には特にお礼を申し上げます。おかげで場面のリアリティが増したのではないかと感じています。東北に強い絆を持つアメリカ人の一人として、あの「トモダチ作戦」の発令を行った司令官役を演じさせていただけたこと を本当に誇りに思います。私自身震災後何度も東北に足を運び、地域の人々と話してきました。米軍のみなさんの適切な支援、援助には誰もが本当に感謝し、これからもず っと語り継いでいくものと思います。本当に有り難うございました。
アメリカ空軍 コメント
アメリカ合衆国国防省とアメリカ空軍は、横田基地において、映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)の重要なシーンの撮影に協力させていただきました。1日の撮影で、米国政府に費用負担をかけることなく、品位、自己奉仕、優秀さ、という空軍が掲げる本質的価値を損なうことなく、空軍隊員をしっかりと描写していただきました。我々空軍隊員は難しい状況下であっても対応できるように訓練されており、それは現地における救助活動を共同で行った行為に大いに反映されており、そして今日空軍が全世界で行っていることの証ともなっております。
映画『Fukushima 50』は2020年3月6日(金)より全国で公開!
監督:若松節朗
原作:門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)
出演:佐藤浩市、渡辺謙、吉岡秀隆、緒形直人、火野正平、平田満、萩原聖人、吉岡里帆、斎藤工、富田靖子、佐野史郎、安田成美
配給:松竹、KADOKAWA
© 2020『Fukushima 50』製作委員会