アレックス・プロヤス監督デビュー作がデジタル・リマスター版として帰ってくる―『スピリッツ・オブ・ジ・エア』の場面写真が解禁された。
赤い砂漠と紺碧の空の間に林立する巨大な十字架とぽつんと佇む一軒家。そこに住む足の不自由な兄フェリックスはこの場所ではないどこかへ飛び立とうと、飛行機づくりに明け暮れている。一方、偏執的な気質を持つ妹ベティは死んだ父の墓を守ることに執着している。茫洋であるのに隔離された2人だけの世界に、スミスと名乗る奇妙な逃亡者が現れるが―。『クロウ/飛翔伝説』(94)、『アイ、ロボット』(04)など近未来SF映画でその名を知られるエジプト出身のアレックス・プロヤス監督のデビュー作にして最高傑作との呼声が高い本作。日本では第1回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映され、審査員特別賞を受賞。翌年に劇場公開されてヒットを記録するも、長年に渡って観る事が難しい“失われた作品”となっていた。
今回、本作の場面写真が解禁された。フェリックスとベティの元に突如現れたスミス。謎に満ちたスミス役を演じたのは、ザ・ノーム(別名:ノーマン・ボイド)。70年代にロンドンやシドニーの小劇場に立ち、ボードビルや政治演劇など様々なジャンルに出演。また俳優として活動する傍ら、ミュージシャンとしての顔も持っている。劇中でスミスは多くを語ることはしない。しかし端正なルックスから醸し出される存在感は抜群である。
解禁された場面写真では、スミスの魅力あふれるシーンの数々が捉えられている。咥え煙草にうつろ気な眼差しで見つめる姿はワイルドさの中に色気が漂う。また、黒いマントに身を包み手袋をはめる姿は鋭い目つきがなんともセクシーだ。当初、スミスの謎を明かすシーンの撮影を予定していたと語るプロヤス監督。予算が尽き、敢え無く断念となったものの「この演出は満足している。描き切らないからこそスミスが信用できる人間なのかを自分たちで見極めなければならない。それはフェリックスやベティだけじゃない。観客たちも同じ気持ちになるから、物語に深く入り込めることができる」と本作の魅力を語っている。
ストーリー
果てしなく広がる荒野に一軒だけの小さな家に住む足の不自由なフェリックス。彼は手作りの飛行機によって空を飛ぶという妄想に取り憑かれ、いつかこの場所からの脱出を夢見ている。一方、偏執的な気質を持つ妹ベティは、この場所を一生離れてはいけないという父の遺言を忠実に守り、十字架に囲まれて暮らしている。そんな2人の生活の中に、ある日、スミスと名乗る逃亡者が現れる・・・。
映画『スピリッツ・オブ・ジ・エア』は2020年2月8日(土)より新宿シネマカリテほか全国で順次公開!
監督・脚本:アレックス・プロヤス
出演:マイケル・レイク、ザ・ノーム、ライズ・デイヴィス
配給:アンプラグド
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