インディアナ州コロンバスを舞台に建築の声に耳をすませる対照的な男女の逡巡と新たな一歩を描いた映画『コロンバス』の公開日が3月14日(土)に決定し、併せて予告編が解禁された。

1920年代に機能主義の建築として成立し、ル・コルビュジエをはじめ現在も建築デザインに多大な影響を与え続けているモダニズム建築。本作の舞台は、エーロ・サーリネンによるミラー邸(アレキサンダー・ジラルドの内装)やノース・クリスチャン教会をはじめ、IMペイ、リチャード・マイヤー、ジェームス・ポルシェックなどの代表作が建ち並ぶモダニズム建築の宝庫インディアナ州コロンバス。ミラー邸といえば設計をしていたエーロ・サーリネンとアレキサンダー・ジラードが屋外用のチェアをイームズ夫妻に発注、それによってイームズアルミナムグループチェアの歴史が始まったという有名建築でもある。建築を巡る二人の心象風景を美しく描き出した珠玉の物語は、すべてのカットが巨匠たちによる建築へのラブレターとも言うべき映像美に彩られている。

本作は、これまでロベール・ブレッソンやアルフレッド・ヒッチコックについてのドキュメンタリーを撮り、小津映画に欠かせない脚本家の野田高悟に因んでコゴナダと名乗る新進監督による長編デビュー作。奥行きを生かした画面の構図や、間の取り方など、小津の芸術性を研究し、全てのシーンで「映画の教科書」のような巧みな構図を実現。小津と同じような感覚を現代につなぐことに成功した本作で一躍注目を集め、今年はコリン・ファレル主演、A24製作による新作『After Yang』が公開予定。

主人公のジンを演じるのは『スター・トレック』『search/サーチ』のジョン・チョー。ピープル誌の「最も魅力的な男性50人」にランクインするほど人気上昇中の彼は、第92回アカデミー賞のノミネート発表を担当し、今年1月には最新出演作『ザ・グラッジ(原題)/The Grudge』(清水崇監督の『THE JUON/呪怨』のリブート作品)が公開された。ケイシー役には『スプリット』『スウィート17モンスター』の若手注目女優ヘイリー・ルー・リチャードソン。さらに“インディーズ映画の女王”と称されるパーカー・ポージーや、マコーレー・カルキンの実弟ロリー・カルキン、ミシェル・フォーブスなど実力派のバイプレーヤーが競演。一方で“建築のもつ人を癒す効果”が鍵となる本作では、第二の主人公として街中にあふれる建築物たちが、ポストロック・バンドのハンモックによる美しい音楽とともに、効果的に演出されている。

予告編

ストーリー

韓国系アメリカ人のジンは、講演ツアー中に倒れた高名な建築学者の父を見舞うため、モダニズム建築の街として知られるコロンバスを訪れる。父の容態が変わらないためこの街に滞在することになったジンは、地元の図書館で働くこの街の建築に詳しいケイシーという女性と出会う。ジンは父親との確執から建築に対しても複雑な思いを抱え、コロンバスに留まることを嫌がり、ケイシーは薬物依存症の母親の看病を理由に、コロンバスに留まり続ける。どこまでも対称的な二人の運命が交錯し、たがいの共通項である建築を巡り、語ることで、それぞれの新しい人生に向かって歩き出す―。

映画『コロンバス』は2020年3月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開!
監督・脚本・編集:コゴナダ
出演:ジョン・チョー、ヘイリー・ルー・リチャードソン、ロリー・カルキン、パーカー・ポージー、ミシェル・フォーブス
配給:ブロードウェイ
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