『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』の公開直前トークイベントが3月17日(火)に都内で行われ、豊島圭介監督と、本作のナレーションを担当した俳優・東出昌大が登壇した。

多くの報道陣で埋め尽くされた客席を前に「本作でナレーションを務める東出昌大です」と言葉少なに挨拶した東出。10代後半で三島作品と出会ったという東出は、本作のテーマとなっている「討論会ばかりは難しかった。共通言語が高い次元にある」と振り返った。そんな三島作品について「一言では言えないんですけど、絢爛豪華な文章は素晴らしい」とコメントした。

自身については「あの頃の感性で、この討論会の場に居合わせるという選択はなかった」と語る東出。ただ、もしその場にいたとしたら「三島由紀夫に圧倒されて、心酔していたと思います」とも語った。

イベント後に行われた囲み取材に応じた東出は「この度はお仕事の関係者のみなさまに多大なるご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした」と深々と頭を下げ、「本来この度の件におきましてもっとも謝罪しなければならないのは妻に対してだと思っています。妻には直接謝罪の気持ちを伝えてまいりたいと思います」とコメント。また、「お仕事の関係からこのような機会を設けることが遅くなりました」と語り、「今日カメラの前で私が何かを発言することによってこれ以上妻を傷つけたくありません」と気遣う場面もあった。

妻・杏とは「ドラマの撮影が終わってこの数日のうちに」話し合ったといい、その話し合いは「一時間ほどだった」という。「話し合いは今後も続けていくことになると思います」と内容については明言を避けた。今後どのようにしていきたいかと聞かれた東出は「今日カメラの前で私の希望や意志をお伝えし、それを妻がテレビで見てということは必ずや傷つけてしまう」と答えを避け、「本当に申し訳ないことをしたと思います」と改めて謝罪の言葉を口にした。

また、自身の子どもとは「別居してからは会えてません」と明かし、「毎晩のようにビデオ通話をしてくれて」と明かした。さらに「子どもたちが大きくなった時に、父親が犯した過ちをいずれ知ることになると思います」と改めて反省している様子をうかがわせた。

今回の件に関しては「仕事においても私生活においても、驕り、慢心、そのようなことがありました」と振り返り、今後の仕事については「私の口から申し上げることはできません。生きていくうえで一日一日を最善を尽くしていこうと」と明言を避けた。

最後に東出は「今回の件でたくさんの人を傷つけました。たくさんの方を裏切りました。その傷をすっかり癒せることがなければ、犯した過ちをすっかりなくすということができないと思います。今後は人を裏切らず、最善を尽くして、ご迷惑をかけた方にも、ご恩がある方にもお返ししていきたいと思います」と語った。

1969年5月13日、東京大学駒場キャンパス900番教室で行われた作家・三島由紀夫と、東大全共闘との伝説の討論会の様子を切り取り、三島由紀夫の生き様を映したこのドキュメンタリー映画は、伝説となった「三島由紀夫VS東大全共闘」の記録を高精細映像にリストアし、当時の関係者や現代の文学者・ジャーナリストなどの識者など、三島由紀夫についての「生きた」証言を集め、ようやくその全貌が明らかとなる、1969年5月13日と約半世紀後の現代を結ぶ作品。当時の貴重なスクープ映像の全貌が、現代に生きる我々に何を届けるのか―。多くの三島作品を読破してきた、俳優・東出昌大がナレーターを務める。

【写真・文/編集部】

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映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』は2020年3月20日(金)より全国で公開!
監督:豊島圭介
配給:ギャガ
©2020映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」製作委員会