芥川賞作家・又吉直樹が描く“初の恋愛小説”を行定勲監督が映画化した『劇場』の場面写真が解禁された。
作家・又吉直樹が “恋愛がわからないからこそ、書きたかった”と語る「劇場」は、演劇の世界で夢を追う主人公・永田と、彼に恋をして必死に支えようとする沙希の、生涯忘れることができない恋を描いた恋愛小説を映画化した本作。主演を務めるのは、興行収入57億円を突破した『キングダム』の大ヒットの記憶も新しい俳優・山﨑賢人。演劇に身も心も捧げながら、実生活では社会や周囲の人々とうまく協調できない不器用な青年・永田を、人生初のひげを生やした姿で、これまで見せたことのない表情で演じる。ヒロインを務めるのは、『万引き家族』(18)で世界に認められた若き実力派女優・松岡茉優。葛藤や迷いを抱えながらも、純粋に彼を愛そうとする健気な沙希を、儚くも愛しく演じている。監督を務めるのは、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)、『ナラタージュ』(17)など時代ごとに新たな恋愛映画のマスターピースを贈り続けてきた行定勲監督。
『劇場』は山﨑演じる自分の劇団で脚本兼演出を務める主人公・永田と松岡演じる女優を夢見て服飾の学校に通う沙希の恋愛に加えて、表現者の苦悩や葛藤を描いている作品。行定監督は本作について「美しいものと醜いものが映っている青春映画にしたいと思った」と語っており、完成した映画を観た又吉も「“生々しさ”とか“痛み”みたいな、そういう部分を小説でも描いたつもりだったので、それが映像になると、よりいい意味で“いるな”っていう感じがしました」とコメント。その言葉通り、劇中では恋をして幸せそうな二人の姿と、その一方で夢を追う中ですれ違っていくやりきれなさが容赦なく描かれており、今回解禁された場面写真でも、永田と沙希のそうした2つの側面を垣間見ることができる。
永田は“表現者“であろうとして虚勢を張っているが、沙希の前では今回の場面写真のような安心しきった笑顔や純粋無垢な瞳を見せる。その一方で創作を生業として生きていくことへの不安や孤独も見せて、しばしばその苛立ちを沙希にぶつけてしまうのだが、山﨑が演じるとどこか憎み切れない男に見えてしまう。可愛らしい笑顔と生気がない目で近寄り難い空気を発する時のギャップは凄まじく、髭を生やした外見もさることながら、演技の面でも今まで見たことのない山﨑の姿を見ることができる。
そして沙希も、厄介な永田の全てを受け入れるような慈愛に満ちたほほ笑みを見せる一方で寂しい表情で涙を流したりと、劇中で多彩な表情を見せる。過去様々な恋愛映画を手掛けてきた行定監督による演出の冴えはもちろんだが、『勝手に震えてろ』、『万引き家族』、『蜜蜂と遠雷』と近年様々な作品に出演し、その度に映画賞を受賞してきた松岡がその演技力を遺憾なく発揮している。
役者として新たな一面を見せる山﨑賢人と、これまで培ってきた経験を爆発させる松岡茉優。否応なく突きつけられる現実の残酷さと、2人の切ない恋愛模様、原作者自ら“いるな”と語るその感覚は劇場で確かめよう。
映画『劇場』は2020年4月17日(金)より全国で公開!
監督:行定勲
原作:又吉直樹「劇場」(新潮社)
出演:山﨑賢人、松岡茉優、寛一郎、伊藤沙莉、上川周作、大友律/井口理(King Gnu)、三浦誠己、浅香航大
配給:松竹、アニプレックス
©2020「劇場」製作委員会