世界中から21の映画祭が参加する10日間にわたって開催されるデジタル映画祭「We Are One: A Global Film Festival」のプログラムが発表された。
トライベッカ・エンタープライズ(トライベッカ映画祭の開催母体)がYouTubeと企画主催する10日間のデジタル映画祭である本営が歳では、東京国際映画祭をはじめ、ベルリン国際映画祭、カンヌ映画祭、ヴェネツィア映画祭などの映画祭のプログラムを取り上げる。YouTube( YouTube.com/WeAreOne)をプラットフォームにして、世界の21の映画祭のプログラムが5月29日(金)から6月7日(日)まで無料で公開される。
視聴者は、この映画祭を通じて、様々な異なる文化を新しいレンズ越しに見ることができるだけでなく、新型コロナウィルスで影響を受けている方々の救援活動を支援する団体に直接寄付することにより、地域社会をサポートできます。本映画祭の収益は世界保健機関(WHO)、そしてとコロナ感染の救援活動を支援している各地域の機関に役立てられる。
35か国以上から100を超える作品が集められ、ワールドプレミアが13作品、オンラインプレミアが31作品、国際的なオンラインプレミアが5作品と、その多くは本映画祭で大々的なデビューを迎える。長編作品ではフィクションが23作品、ドキュメンタリーが8作品、短編作品ではフィクションが57作品、ドキュメンタリーが15作品上映される。また、トークについては、アーカイブされたものから15本公開されるのに加え、4本が本映画祭限定で公開、さらに、5つのVRプログラミング作品も含まれている。
トークでは、フランシス・フォード・コッポラ、スティーブン・ソダーバーグ、ソン・ガンホとポン・ジュノ、ギレルモ・デル・トロ、ジェーン・カンピオン、クレール・ドニが登場。360度VR作品には、エミー賞にノミネートされたドキュメンタリー『Traveling While Black』と、ビル・スカルスガルド主演のSF作品『Atlas V』、ほかにもジョン・レジェンド、オプラ・ウィンフリー、ルピタ・ニョンゴなど著名なタレントの作品が上映予定。また、クエストラブ(Questlove)の30分のDJセットなど、特別な音楽パフォーマンスも行われる。
東京国際映画祭のプログラム
①湯浅政明監督短編アニメーション
『夢見るキカイ』(2007年作品、15分)
STUDIO4℃が7人の映像作家を集め制作したオムニバス『Genius Party』の中の一篇。無垢な赤ん坊が入り込んだシュールな世界を描くファンタジー。
②深田晃司監督特集
『いなべ』(2013年作品、38分)
17年ぶりに突然赤ちゃんを連れて帰ってきた姉に誘われ、子供のころに埋めた「何か」を探しに行くことになり、次第に幼い頃の姉弟の思い出がよみがえってくる、ほろ苦くもちょっと不思議な物語。
『ジェファーソンの東』(2018年作品、18分)
ラブホテルの一室。相席カフェで出会った男女が事に及ぼうとしている。身体を重ねようとしたその時、二人の間に思わぬ過去のつながりがあることが発覚し・・・。都会の片隅、ぐるぐる回るベッドの上で記憶が邂逅する奇妙な短編。
『ヤルタ会談オンライン』(2020年新作、40分予定)
第2次世界大戦の終戦間際、戦後世界の支配をめぐって米・英・ソ首脳によって行われた「ヤルタ会談」を痛快にパロディ化した劇団青年団の人気レパートリーの30分の演劇をコロナ禍のさなかに置き換えそのままオンライン化。
③長編作品
『勝手にふるえてろ』(2018年作品、117分、大九明子監督)
芥川賞作家・綿矢りさによる同名小説の映画化で、恋愛経験のない主人公のOLが2つの恋に悩み暴走する様を、松岡茉優の映画初主演で描くコメディ。2017年東京国際映画祭コンペティション部門で上映、観客賞を受賞。
『アイスと雨音』(2018年作品、74分、松居大悟監督)
ある小さな村での初舞台に向けて稽古に励んでいたが、突如舞台の中止を告げられてしまう6人の少年少女たち。現実と虚構、映画と演劇の狭間でもがきながら生きる若者たちの姿を、74分ワンカットで描いた意欲作。2017年東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で上映。
矢田部吉彦(東京国際映画祭シニア・プログラマー)コメント
高い志を掲げる「We Are One: A Global Film Festival」に参加できることを光栄に感じ、不自由を強いられている世界の人々に、映画を見る喜びを通じて少しでも開放感を味わってもらえる作品を選ぼうと試みました。ユニークなアニメーションや、勢いに乗る気鋭の映画監督たちによる刺激的な作品を、世界の映画ファンに楽しんでもらうことを意図しています。
東京国際映画祭は数々の才能ある作家たちの作品に恵まれてきており、今回の選定はそのようなご縁の深い監督たちの作品が中心になりました。
『夜明け告げるルーのうた』でアヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得し、2018年のTIFFでも特集をした湯浅監督の短編アニメーションは、セリフが無いゆえにグローバルな鑑賞者の想像力をダイレクトに刺激しうる作品です。
『歓待』がTIFFで受賞をした深田晃司監督は、その後カンヌ国際映画祭で受賞するなど、今や日本映画界を牽引する存在でもありますが、貴重な短編と今回の為の新作をご覧頂くことで深田ワールドの多様性を深く体験してもらいたいと思います。
TIFFで観客賞を受賞した大九明子監督による 『勝手にふるえてろ』は、センス溢れる女性監督と天才的女優の出会いが育んだ傑作であり、世界中の観客にあらためてその存在を訴えたい作品です。
松居大悟監督による『アイスと雨音』は演劇の実現に向けて障害を乗り越えようとする少年少女たちの奮闘のドラマであり、催事の中止が相次ぐ現在の世界にエネルギーを与えてくれるに違いありません。
今後の日本を牽引していくであろう、才能あふれた監督たちを紹介していく未来目線の選定であります。