心揺さぶる父と息子の感動作『靴ひも』が10月に公開されることが決定した。
一度は家族を捨てた父と、発達障害のある息子が約30年ぶりに一緒に暮らすことになり、悪戦苦闘しながら本当の親子関係を築くまでを、優しさとユーモアたっぷりに描いた心打たれる感動作である本作。本国イスラエル・アカデミー賞では8部門ノミネート、父親役のドヴ・グリックマンが助演男優賞に輝き、アメリカ各地の映画祭で観客賞を多数受賞、2018年の第31回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門にて上映された。タイトルの「靴ひも」は、息子の苦手な動作の一つである“靴ひもを結ぶこと”。お仕事とお昼ごはん、どっちも大事な息子と、長年にわたり家族と疎遠だった父親との関係の変化と成長の象徴として三度登場するが、三度目の靴ひものシーンがもたらす展望は、観る者すべての心にあたたかい光を灯すに違いない。
監督を務めたのは、イスラエルの映画・テレビドラマ界で長年活躍し、人間ドラマの名匠として知られるヤコブ・ゴールドヴァッサー。ゴールドワッサー監督自身も、発達障害を持つ息子の父親であり、テーマが身近であるだけに困難な挑戦だったが、「映画を通して人々の障害に対する意識を変えたい」という情熱が制作の原動力になったと語っている。
息子役を演じるのは、映画『ボーフォート レバノンからの撤退』やイスラエルの大ヒットドラマ『Prisoners of War』(米ドラマ「HOMELAND」原案)」、『Hostages』(米ドラマ「HOSTAGE/ホステージ」原案)などに出演する実力派のネボ・キムヒ。本作の企画を立ち上げる際、監督は息子役のキャラクターがどれだけ観客を魅了できるかに映画の成功がかかっていると考えていたが、キムヒは見事にその期待に応え、多面的で愛情深い、誰もが好きにならずにはいられない主人公を体現した。
父親役には、1970年代からテレビドラマの第一線で活躍し、日本でも劇場公開された『オオカミは嘘をつく』(13)、『嘘はフィクサーのはじまり』(16)に出演、近年はNetflix配信の『シュティセル家の人々』の厳格な家父長役が話題のドヴ・グリックマン。本作では哀愁が滲む演技で観客の笑いと涙を誘い、イスラエル・アカデミー賞 助演男優賞に輝いた。
ストーリー
母の突然の死により、約30年ぶりに同じ屋根の下で暮らすことになった父と息子。息子は明るく誰に対してもフレンドリーな一方で、皿の上の食べ物の配置から、寝る前のルーティンにまで、生活習慣への独自のこだわりが強く、苦手なことも多い。父はそんな息子にどう接したらよいか手探りで戸惑ってばかり。そんな2人がようやく打ち解けた頃、父は末期の腎不全と診断され、人工透析が必要になる。病状が芳しくない父は、ソーシャルワーカーの勧めで特別給付金を申請することに。その面接の場で、息子は特別な支援が必要であるとアピールするため、靴ひもを結べないふりをするのだが・・・。
映画『靴ひも』は2020年10月よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開!
監督:ヤコブ・ゴールドヴァッサー
出演:ネボ・キムヒ、ドヴ・グリックマン、エヴェリン・ハゴエル
配給:マジックアワー
©Transfax Film Productions