『星の子』の完成報告イベントが9月3日(木)に都内で行われ、芦田愛菜、永瀬正敏、原田知世、大森立嗣監督が登壇した。

大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろだが、その両親はちひろが生まれたときの病気を奇跡的に治してしまった「あやしい宗教」を深く信じている。成長していくちひろは、生まれて初めて両親と暮らす自分の世界を疑い始めていく―。

ちひろを演じる芦田は「“信じる”ということがひとつのテーマになっていると感じて。身近でよく使う言葉なのに、今までちゃんと深く考えたことがなかったと気が付いたので、自分なりの答えを演じながら探していければと思いました」と振り返った。これまでのロングヘアをバッサリと切って挑んだ芦田だが、そのことについては「髪の長い時分がちひろを演じていることがしっくりこなかった」と明かし、大森監督と話し合ったうえで短くしたことを明かした。

劇中では緑のジャージ姿を披露する両親役の永瀬と原田だが、原田は「衣装合わせで永瀬さんが着ているのを見て安心しました」と笑顔を見せ、永瀬も「台本に“緑のジャージ”って書いてあったので、衣装合わせをめちゃくちゃ楽しみにしていった」と明かした。そんな2人との撮影について「フレンドリーに接してくださった。大事に育てられてきたんだろうなとしみじみと感じた」と、関係性を築くうえでの助けになったことを明かした芦田。

イベントではたびたび“信じる”という言葉がキーワードとして出てきたが、改めて“信じるとはどういうこと?”と聞かれた芦田は「その人自身を信じているのではなくて、自分が理想としているその人の人物像に期待してしまっていることなのかな。だからこそ、期待していたのにとか言うけど、それはその人の見えなかった部分が見えただけで、それもその人なんだと受け止められる揺るがない自分がいることが信じられるということだと思った。でも揺るがない自分の軸を持つのは難しい。不安な自分がいるからこそ、理想の人物像にすがりたいんじゃないのかな」と語った。

これには父親役の永瀬も「しっかりしてるでしょ。これ以上の答えはないんじゃないかなというくらい」と感心しきっている様子だった。一方で、タイトルにちなんで“いま流れ星が流れてきたら何をお願いしたい?”という質問に「猫と話したい」と答えた芦田。最近猫を飼いはじめたという芦田は、「どう思っているのかな」と思っていることを聞きたいと明かし、「癒されています。結構話しかけます」と笑顔が止まらない様子だった。

最後に芦田は「映画を見てくださったみなさまにとって“信じる”ってなんだろうとか、自分が信じたいと大切な人って誰だろうと考えるきっかけになってくれたらうれしいです」とメッセージを送った。

ドラマデビュー作『Mother』から10年、ハリウッド映画やアニメーション映画の吹替などで観客を魅了してきた芦田愛菜が本作で演じるのは、撮影時の自身と同じ中学三年生の少女・ちひろ。“あやしい宗教”を深く信じている両親のもとで過酷な青春に翻弄されるちひろの複雑な表情を圧倒的な演技力で表現。今村夏子による同名小説を原作に、大森立嗣が監督・脚本を務める。

【写真・文/編集部】

映画『星の子』は2020年10月9日(金)より全国で公開!
監督・脚本:大森立嗣
出演:芦田愛菜、岡田将生、大友康平、高良健吾、黒木華、蒔田彩珠、新音、永瀬正敏、原田知世
配給:東京テアトル、ヨアケ
©2020「星の子」製作委員会