撮影:下坂敦俊


東京・竹芝エリアの複合施設「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」に誕生する新劇場・清水建設ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[秋]のこけら落とし公演として、劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』が10月24日(土)に開幕する。

JR東日本四季劇場[春][秋]は、竹芝ウォーターフロントに開業した複合施設「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」内に再オープンする劇団四季の首都圏における活動拠点。1998年から2017年までの19年にわたり上演を行ってきた旧・四季劇場の伝統と歴史を受け継ぎつつ、新たな時代に文化・芸術のイノベーションを起こす場として誕生する。

そして、この新劇場・清水建設ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[秋]の幕開けを飾るのが『オペラ座の怪人』。フランスの作家ガストン・ルルーの同名小説を基にしたミュージカルである本作は、パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しいまでの愛の様が、“21世紀のモーツァルト”とも呼ばれるアンドリュー・ロイド=ウェバーの流麗で重厚な旋律によって紡がれる。

『オペラ座の怪人』は、衝撃的で感動的、そして完全なる舞台美術が人々を魅了し続けている。本作でトニー賞最優秀美術賞および最優秀衣裳賞を受賞したマリア・ビョルンソン(2002年逝去)が、実際にパリのオペラ座を取材して創出した舞台は、華麗、荘厳、重厚など様々に形容されるが、言葉や写真だけで説明するのは到底不可能。ダスト・カバーを取り除くと姿を現す彫像群、激怒した怪人が舞台に叩きつけるシャンデリア、怪人の棲処の地下湖に向かう階段を表すトラベレーター、舞台床からせり上がる幻想的な無数のキャンドル、地底の湖を進む小舟など、すべてがコンピューターで制御され、想像をはるかに超える舞台効果があげられている。

劇中で重要な役割を果たすシャンデリアは、高さ約2m、幅約3.5m、奥行き約2m、重量約400kgで、飾りのビーズは3万4千個が手作業で取り付けられている。今回の公演では、30年超にわたる日本公演史上初めて、このシャンデリアが新調された。また、絢爛豪華な衣裳、総額数千万円の費用がかかっているドレープ(吊り幕)などは、素材が日本では入手困難なため、イギリスから直接輸入されている。

1986年ロンドン開幕以来、世界40か国180都市で上演され、累計観客動員数は1億4,500万人を記録、オリジナルの英語や日本語以外にも、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語など多くの言語に翻訳されて上演されてきた。四季においても1988年東京初演以来、総入場者数は721万人以上を数え、総上演回数は『ライオンキング』『キャッツ』に次ぐ国内第3位の7,195回を誇る、まさに国内屈指のミュージカル作品だ。東京公演としては2013年以来、約7年ぶりの上演となる。

実は劇団四季にとって、『オペラ座の怪人』は“こけら落とし”として縁が深い作品。1990年代には、93年「JRシアター」(札幌)、95年「MBS劇場」(大阪)、96年「福岡シティ劇場」、97年「名古屋ミュージカル劇場」と日本各地に次々と四季専用劇場が竣工されたが、これら劇場のこけら落とし公演となったのが本作。東京初の専用劇場となった「赤坂ミュージカル劇場」(95年開場)では劇場第2作として上演されている。新たな時代を迎えた今、誕生する新劇場にとって、まさにふさわしい作品と言える。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により開場が延期されていた四季劇場[秋]が、いよいよ10月24日(土)に『オペラ座の怪人』で幕を開ける。そして、四季劇場[春]は来年1月に『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』 で開場、6月には待望のディズニーミュージカル『アナと雪の女王』が開幕する予定だ。今後も劇団四季から目が離せない。

劇団四季 ミュージカル『オペラ座の怪人』東京公演 概要

公演期間:2020年10月24日(土)開幕<ロングラン上演>
発売日:【10・11月公演分】発売中
※販売の詳細については劇団四季オフィシャルウェブサイトにて。
※12月公演以降は決定次第同サイトにて発表。
会場:清水建設ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[秋](東京都港区海岸1-10-45)
【アクセス】
JR山手線・京浜東北線「浜松町駅」北口より徒歩約6分
都営地下鉄浅草線・大江戸線「大門駅」B1出口より徒歩約7分
東京臨海新交通ゆりかもめ「竹芝駅」より徒歩約3分
予約方法:インターネット  SHIKI ON-LINE TICKET(24時間受付。ただし、発売初日は午前10時より)ほか
問合せ:ナビダイヤル 0570-008-110

【文/河野康成】