第33回東京国際映画祭「TOKYOプレミア2020」部門上映作品『ゾッキ』のQ&Aイベントが11月8日(日)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、竹中直人監督、山田孝之監督、齊藤工監督、松井玲奈、森優作、松田龍平、原作者の大橋裕之、脚本を担当した倉持裕、鈴木寿明蒲郡市長が登壇した。

ワールド・プレミアやアジアン・プレミアの作品を中心に、32本の内外の個性豊かな監督による新作の披露を観客と共に祝福する「TOKYOプレミア2020」部門。その独特な表現力が唯一無二の作家と称される天才漫画家・大橋裕之の幻の初期作集「ゾッキA」「ゾッキB」を原作に、日本を代表する俳優であり、クリエイターとしても異能示す竹中直人・山田孝之・齊藤工の三人が映画監督として共同制作をした奇跡の実写映画。

一同が舞台に登壇すると齊藤監督は「この作品は俳優が監督するという映画ではあるんですが、来年以降公開して終わりではなくて、その後も含めて寄り添ってこの映画がどうやってウィズコロナ、アフターコロナの世界でどういう存在になるのかということを、今日だけじゃなく今後も注目していただけたらなと思います」と挨拶した。松井は「気づかない方もいるかと思うんですけど、映画の中に出てきた白いマネキンをやっていた人間です!そうだと思ってお話しを聞いていただけたら嬉しいです」と役をアピールした。

松田が「自転車とエロ本と・・・」と話し始めると、山田監督は「もっといろいろあったでしょ!」とすかさずツッコミを入れて笑いを誘い「気の向くまま旅に出る男を演じました、松田龍平です。今回同い年で俳優の山田くんの初監督作品ということですごく刺激のある現場でした。楽しかったです」と挨拶した。

演じた役についてお題が振られると、松井は「役名としては幽霊という役で、マネキンを演じていました。初体験の特殊メイクをたくさんしていただいて、とても楽しい経験でした」と笑顔を見せ「私は一人きりの撮影だったので、どのキャストの方にもお会いすることなく竹中監督だけ会っていました」と明かし、役に選ばれた時の気持ちについて「お話しをいただいたときに、竹中さんがこの役を是非松井さんにやってほしいと聞いていて。そうだったんですか?」と隣に立つ竹中監督に問いただすと、竹中監督は「松井さんのその・・・美しいのですが、その中にちょっと不思議な匂いがするというか。その空気は松井さんしか出せないだろうと思ったので・・・」と本音を吐露した。

山田監督との現場について松田は「いやぁ楽しかったですね」と一言。続けて「なんか山田くんは終始現場でニヤニヤしているので、その顔見るだけで楽しくなっちゃう感じで。僕に対しての演出はただニヤニヤしているだけなんですけど、他のシチュエーションとか他のキャストさんには熱い思いをぶつけていたりして。それが山田くんのやり方なんだって(笑)」と暴露すると、山田監督は「モニターに松田龍平が写っているわけですよ。もう嬉しくて!ずっと見ていたいなと思ってニヤニヤしてました。でも他の方は龍平くんほどではないので、厳しく。物こそ投げないですけど厳しめにやらせていただきました」と語った。

本作で3人が監督するということに齊藤監督は「とても貴重な体験をさせていただきました。でも原作に対する思いというのは三者三様というか、みんな共通していたので。たぶんメイキング的には揉めてほしいような雰囲気があったんですけど、スムーズでしたね。向かっている方向は『ゾッキ』に関わる人たちみんな同じだったんじゃないかなと思います」と語った。

最後に竹中監督は「2018年に倉持さんと舞台やって。僕の前の楽屋が前野朋哉っていう大好きな俳優でゲストに呼んだんですけど。その前野朋哉の楽屋の冷蔵庫の上に『ゾッキA』、『~B』があって。『なにこれ?ちょっと貸して!』と言って自分の楽屋に持っていって広げたらとても感動してしまって。大橋さんの言葉に震える思いだったんですね。絶対これを映画にしたいと思って。それが2年後に形なったということ、夢を持っていれば叶うんだなと深く思いました」と振り返り、拍手が巻き起こった。

【写真・文/蔭山勝也】

映画『ゾッキ』は2021年春に全国で公開!
監督:竹中直人、山田孝之、齊藤工
出演:吉岡里帆、鈴木福、満島真之介、柳ゆり菜、南沙良、安藤政信、ピエール瀧、森優作、九条ジョー(コウテイ)、木竜麻生、倖田來未、竹原ピストル、潤浩、松井玲奈、渡辺佑太朗、石坂浩二(特別出演)/松田龍平/國村隼
配給:イオンエンターテイメント
© 2021「ゾッキ」製作委員会

第33回東京国際映画祭は2020年10月31日(土)~11月9日(月)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほかで開催!
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