『ばるぼら』の公開記念舞台挨拶が11月21日(土)に行われ、手塚眞監督、稲垣吾郎、二階堂ふみが登壇した。
手塚治虫が1970年代に「ビッグコミック」(小学館)に連載し、禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダル、オカルティズムなど、様々なタブーに挑戦した大人向け漫画「ばるぼら」。その独特な世界感から”映画化不可能”と言われていたが、手塚治虫生誕90周年を記念して初映像化。監督は原作者・手塚治虫の実子でもある手塚眞、撮影監督はクリストファー・ドイルが務め、異常性欲に悩まされている耽美派小説家・美倉洋介を稲垣吾郎、芸術家のミューズであり自堕落な生活を送る謎の女・ばるぼらを二階堂ふみが演じる。日本映画界でも異彩を放つ2人が、甘美で退廃的な『ばるぼら』の異世界に全身全霊で臨んだ。
全国65劇場で生中継され、無観客で行われた今回の舞台挨拶。手塚眞監督は「2年前の11月、この3人で『ばるぼら』の映画の発表をさせていただきました。その時は手塚治虫生誕90周年のパーティーの席上だったんですね。それからだいぶ時間が経ちましたが、こうやって無事に皆様に観ていただける機会に恵まれました。奇跡的な人たちが集まって、つくり出した素晴らしい作品です」と振り返った。
今回初共演となる稲垣と二階堂。稲垣は「いつかご一緒させていただきたいなとずっと思っていました。この『ばるぼら』という作品の中でこの役を演じるのは難しかったと思うんですけど、二階堂さんが“ばるぼら”としてそのまま存在してくれていたおかげで僕も演じることができました」と感謝の気持ちを口にし、「(稲垣が演じる)美倉洋介にとって、彼の才能がさらに開花していくのは、ばるぼらとの出会い、ばるぼらがミューズだったわけですが。この作品で僕が最後まで役をまっとうすることができたのは二階堂さんのおかげですので、この作品において二階堂さんは僕にとってのミューズですね」と語った。
一方で二階堂は「物心ついた時からスターといいいますか、トップで活躍されている方だったので。そういった面も含めて、稲垣さんのもつ聡明さであったり、博学な部分であったりが、このキャラクターにとっても魅力的になるだろうなと現場に入る前からすごく感じておりましたので、現場で学ばせていただいたことが数多くあって貴重な経験をさせていただけて、感謝の気持ちでいっぱいです」と称賛した。
自身が演じた役柄との共通点について稲垣は「いいですよね、愛に溺れていく感じというか。そこまで振り切ることってなかなかできないじゃないですか。周りが見えなくなってしまって、2人で愛の逃避行をしたりという・・・少し憧れたりはしますけれども、実際の僕の方がもっと冷静だと思います」とコメント。二階堂は「実態のないキャラクターなんだろうな、というのは原作からも脚本を読んでもそういう感じがしたので、あまり自意識を持たないように、“普通”とか、人だったらこうするというのがあまり通用しないキャラクターだなと感じて。あまり毎回現場で考えすぎないようにしなきゃなと思ってやらせていただいたんですが、いつも以上にあまり考えないでやっていました」と明かした。
手塚眞監督は、原作者である父・手塚治虫がこの映画を見たら、どんな言葉をかけるか、という質問に「昔のヨーロッパの映画が好きだったので、主役の俳優に関しては絶対美しい人でないと、と思っていると思うんですね。完璧にこの2人だったら太鼓判をおす2人でございます。もちろん内容は、もし本人が観たらああだこうだと突っ込んでくるとは思うんですね。でも、今週イタリアのファンタ・フェスティバルという国際映画祭で最優秀作品賞という賞をいただきました。恐らくそのことを僕以上に喜んだのは父親だと思います。自分の原作の作品が世界に認められたというところでは、親子共々嬉しい気持ちでございます」と語った。
最後に稲垣は「この作品は、一つ大きな答えの用意された娯楽作品とはちょっと違うところにある作品なんですけれども、映画のテーマでもある愛や幻想、そして狂気の果てで見えるような美しい景色、美しい芸術を皆さんに堪能いただける作品に仕上がっていると思います」、二階堂は「アート性の高い作品になっていると思うんですけれども、そこからどんどん繋がりができていく作品だと感じています」と本作をアピールした。
映画『ばるぼら』は全国で公開中!
監督・編集:手塚眞
出演:稲垣吾郎、二階堂ふみ、渋川清彦、石橋静河、美波、大谷亮介、ISSAY、片山萌美/渡辺えり
配給:イオンエンターテイメント
映倫区分:R15+
©2019『ばるぼら』製作委員会