セウォル号沈没事故を初めて正面から取り上げた韓国映画『君の誕生日』のイ・ジョンオン監督から日本の観客に向けたメッセージ映像が到着した。

本作で長編監督デビューを飾るのは、『シークレット・サンシャイン』『オアシス』『バーニング 劇場版』などで世界の映画界を魅了する巨匠イ・チャンドン監督のもとで経験を積んだ新鋭イ・ジョンオン。監督自身がボランティア活動を通じ、長い期間遺族と接する中で生まれた本作は、韓国全土が悲しみに包まれた2014年4月16日、修学旅行中の高校生ら300人以上が犠牲となったセウォル号沈没事故を初めて正面から取り上げた作品。亡くなった息子の、近づいてくる誕生日を軸に、共に記憶し、悲しみを分かち合うことがどれだけ生きていく上での励みになるか、忘れられない傷を持つすべての人々に寄り添う、温かな感動作として仕上げた。

監督を務めたイ・ジョンオンは、『バーニング 劇場版』、『シークレット・サンシャイン』などで知られるイ・チャンドン監督のもとで経験を重ねてきた。イ・ジョンオン監督が本作を企画したきっかけは2015年夏の安山(アンサン)での経験に基づいている。監督は2015年に安山には大勢の生徒が事故の犠牲となった高校があり、そこで亡くなった子どもたちの「誕生日会」を開くボランティアに参加していた。そこで監督は遺族や犠牲者の友人たちの話を聞き一緒に悲しんだそう。

この経験を映画の中に可能な限り淡々と込めようとしたイ・ジョンオン監督は、「日常の断面をそっくりそのまま見せれば、より多くの人たちが痛みや悲しみに共感できると思った。消し難い傷を持つすべての人たちと心を分かち合うことのできる映画になってほしい」と本作の企画意図について説明す。監督の意図に賛同した制作陣は 「2014年4月を覚えている人、忘れている人、すべてにさりげなく語りかけられる映画を作るために努力した。この映画が記憶を共有し、悲しみに共感する小さなきっかけになってくれたら嬉しい」と語っている。

また、今回到着した監督からのメッセージ映像では「事故当時の状況や原因に焦点を当てるのではなく、事故の後に残された人々が懸命に日々を生きる姿を描いています。大変な今を生きる方々への癒やしと慰めとなることを願います。」と語っている通り、本作が癒やしと慰め、そして温もりが短い映像ながら伝わる。

メッセージ映像

映画『君の誕生日』は2020年11月27日(金)よりシネマート新宿ほか全国で公開!
監督・脚本:イ・ジョンオン
出演:ソル・ギョング、チョン・ドヨン、キム・ボミン、ユン・チャニョン、キム・スジン 、イ・ボンリョン
配給:クロックワークス
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