撮影当時19歳の石井杏奈「頭の中でいっぱいいっぱいになっちゃって」―『記憶の技法』初日舞台挨拶

『記憶の技法』の初日舞台挨拶が11月27日（金）にヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、石井杏奈、柄本時生、戸田菜穂、池田千尋監督が登壇した。

いくつもの心揺さぶる珠玉の傑作漫画を世に送り出し、2016年に急逝した吉野朔実による「記憶の技法」を実写化した本作。「E-girls」のパフォーマーであり女優としても活躍する石井杏奈が、ひたむきに自らの心の扉を開こうとする華蓮の変化、成長をみずみずしく演じきる。偶然の成り行きで華蓮の旅のパートナーとなり、自らも心に葛藤を抱える青い目を持つ孤独な少年・怜を演じるのは、本作が惜しくも引退作品となった栗原吾郎。記憶をめぐるミステリーのキーパーソンと言うべき金魚屋の青年役を柄本時生、華蓮を深く愛しながらも重大な秘密を隠し持つ両親役を小市慢太郎、戸田菜穂と実力派キャストが脇を固める。黒沢清監督の愛弟子として注目の気鋭・池田千尋が監督を務める。

撮影当時19歳だったという石井は、自らのルーツを辿る旅に出るというストーリーに「（自らが演じた）華蓮が抱えているものだとか、経験したことが、自分の頭の中でいっぱいいっぱいになっちゃって、共感したいけど共感できない部分が多くて。19歳ながらに自分のことと重ねながら演じました」と振り返り、「キット今演じたら全然違う役になったり、違う感じ方があるんだろうな」とコメントした。

そんな石井と共演した柄本は「僕は現場でおしゃべりするのは嫌いじゃなくて、ただどうやったらお話できるかというのを考えて。楽しかったなっていう思い出があります」と振り返った。母親役の戸田は「杏奈ちゃんを見ていとおしいと思ったし、可憐でかわいらしくて、ピュアでずっと見ていたい感じで、自然に演じさせてもらいました」と石井を称賛した。

最後に石井は「無事初日を迎えられたことも、登壇できたことも、本当に幸せです。たくさんの方々に見ていただいて、映画に込めた思いがみなさんに届くことを願っています」とメッセージを送った。

【写真・文／編集部】