加藤シゲアキの最新長編『オルタネート』が第164回直木賞候補作にノミネートされた。

2012年1月に『ピンクとグレー』(KADOKAWA)で、小説の世界に鮮烈なデビューを果たした加藤シゲアキ。以降、NEWSのメンバーとしての芸能活動の傍ら、作家としても活動を続け、数々の話題作を世に送り出してきた。そんな加藤の3年ぶりの新作長編『オルタネート』が第164回直木賞候補作に選出された。

高校生限定のSNS「オルタネート」が存在する世界で、インターネットと現実の二つの社会に翻弄されていく少年少女を描いた青春群像物語である本作は、刊行直後から話題沸騰。11月17日の配本日(発売日は11月19日)、いわゆる「フラゲ」日の時点で完売する書店も相次ぐなど、異例の事態を観測し、発売から5日目にして緊急重版がかけられたばかりだった。新潮社は今回の報を受けて、さらに計3万部の重版(4刷)を決定し、累計発行部数は9万部となった。

加藤自身が文学賞にノミネートされるのは初のことであり、アイドルが直木賞の候補作に選ばれるのも勿論今回が初めての快挙となる。直木賞の選考会は1月20日(水)に東京都内で行われる。

加藤シゲアキ コメント

文学賞のノミネート自体が初めてで、それも直木賞ということに、いまだに驚いています。
自分は新人賞などを取らずに小説界に飛び込んだので、どことなく引け目のようなものがありましたが、今はほんの少しだけ自分を肯定してもいいのかなと思っています。
しかしながら、これまでも直木賞の選評は読んできているので、選考委員の方々の厳しさは承知しています。
煮るなり焼くなり好きにしてください、といった覚悟です。
最後に改めてお伝えしたいのは、僕がこれまで書き続けることができたのは、偏に支えてくださった関係者や編集の方々、書店員やファンのみなさまのおかげです。心より感謝を申し上げたいと思います。

ストーリー

誰しもが恋い焦がれた青春の普遍を、真っ向から描き切る。加藤シゲアキ、これが新たな代表作。高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。全国配信の料理コンテストで巻き起こった〈悲劇〉の後遺症に思い悩む蓉(いるる)。母との軋轢により、〈絶対真実の愛〉を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津(なづ)。高校を中退し、〈亡霊の街〉から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志(なおし)。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる"とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体―。“あの頃"の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。

加藤シゲアキ著『オルタネート』
11月19日発売/383頁/判型:四六版ハードカバー/1650円(税別)