ケニア在住の小学校に通う94歳の“ゴゴ”(おばあちゃん)を壮大な風景とともに追いかけたドキュメンタリー映画『GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生』に共感した「NEWS ZERO」元キャスター村尾信尚のインタビュー
が到着した。
プリシラ・ステナイは、3人の子供、22人の孫、52人のひ孫に恵まれ、ケニアの小さな村で助産師として暮らしてきた。皆から“ゴゴ”と呼ばれる人気者だ。ある時、彼女は学齢期のひ孫娘たちが学校に通っていないことに気づく。自らが幼少期に勉強を許されなかったこともあり、教育の大切さを痛感していたゴゴは一念発起。周囲を説得し、6人のひ孫娘たちと共に小学校に入学した。年下のクラスメートたちと同じように寄宿舎で寝起きし、制服を着て授業を受ける。同年代の友人とお茶を飲んで一息ついたり、皆におとぎ話を聞かせてやることも。すっかり耳は遠くなり、目の具合も悪いため勉強するのは一苦労…。それでも、助産師として自分が取り上げた教師やクラスメートたちに応援されながら勉強を続け、ついに念願の卒業試験に挑む。
2003年から関西学院大学教授を務め、2006年から18年まで、日本テレビ系列のニュース番組「NEWS ZERO」のメインキャスターを務めた村尾信尚。本作を観た率直な感想を「『深い川は静かに流れる』という言葉を思い出しました」という村尾は、「淡々としていて、トーンは穏やかですが、訴えていることは実に深い。そして、ゴゴさんの思いがストレートに伝わってくる。解釈を観客側にゆだねているところが、素晴らしいと思いました」と話す。
また、「パキスタンのマララ・ユスフザイさんは『本とペンは世界を変えられる』と言いました。社会を変えられるのは、武器ではなく、教育です。ゴゴさんの姿は、マララさんのように劇的ではありませんが、静かに、しかし、とても深く、教育の大切さを訴えています」と17歳でノーベル平和賞を受賞したマララさんの言葉を引用してゴゴの印象を語った。そして、本作のテーマでもある教育の重要性については「コロナ禍で、科学的事実に基づかない行動や、寛容さを欠く行動がどれだけ人間を不幸にしているかが明らかになってきましたが、その意味でも教育は重要だと思います。教育は想像力を育て、人の感情を学び取る力を育みます」と話し、まさに今世界が抱える社会問題にも言及し、学問だけに留まらない教育を受けることの重要性を訴えた。
また、ゴゴは学校に通えない少女たちのために寄宿舎を建てることにも積極的に関わっていることを受け「94歳にしてこれだけポジティブに生きられることに感心しました。私も高校生を相手に、温暖化や少子高齢化、財政赤字といった日本や世界の問題を語る『村尾塾』をやっています。65歳の私くらいの年齢になると今の状況から逃げられますが、次の世代は逃げられません。そうした次の世代を大切にしたいという思いが私にはあります。日本の若い世代から、第二のマララさんのような人が出てきてほしい。だからゴゴさんに負けないように頑張ろうと改めて思いました」と語った。
最後に「もちろん高齢者に前向きに生きる勇気を与えてくれますが、若い人にも教育の大切さを教えてくれます。老若男女すべての人に見てもらいたい映画です」と熱いメッセージを送った。
映画『GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生』は2020年12月25日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国で順次公開!
監督:パスカル・プリッソン
配給:キノフィルムズ
©Ladybirds Cinema
【文/片岡由布子】