父と息子の実話に基づく絆の物語『Here We Are(英題)』が『旅立つ息子へ』の邦題で3月26日(金)より公開されることが決定した。
世界でいちばん愛する息子のために、キャリアも妻も捨てて、子育てに人生を捧げてきた元グラフィックデザイナーの父。“金はなくても愛がある”と田舎に引っ込み、2人だけの世界を楽しんできた。ところがある日、彼らに突然の試練が訪れて…。自閉症スペクトラムを抱える息子を全力で守る父と、父の愛を受けとめて心優しい青年に成長した二十歳の息子。このふたりの結末に、「国境を超えてどの国の親でも共感できる作品」「本当に“染みる”という体験」と深い余韻を残し、早くも絶賛の声があがっている。
本作のメガホンをとったのは、イスラエルを代表する巨匠ニル・ベルグマン。母国イスラエルを舞台に、繊細に揺れ動く家族の姿を描き続けてきた。父親を失った家族の再生を描いた『ブロークン・ウィング』(2002)で長編デビューし、第15回東京国際映画祭でグランプリを受賞。続く2作目の『僕の心の奥の文法』(2010)では、大人になることを拒んだ少年の姿を通し、戦争が迫るイスラエル国家や大人への抵抗をユーモアを交えて描き、同映画祭でグランプリを受賞し、東京国際映画祭史上初にして唯一の二度のグランプリ受賞の快挙を果たした。本作では、国内で最も有名な映画評論家から、是枝裕和監督の作品と並べられ、イスラエル・アカデミー賞では監督賞はじめ4部門受賞するほど高い評価を得ている。
息子ウリ役を演じた気鋭の新人ノアム・インベルは、オーディションでこの役を勝ち取り、そのリアリティ溢れる天才的な演技は『ギルバート・グレイプ』のレオナルド・ディカプリオの再来を彷彿させると世界中で評判に。まるで役作りとは思えないほど、自然な姿でその複雑なキャラクターを体現した。実際に、彼の父親は自閉症スペクトラム施設の職員で、小さい頃から施設の友達と一緒に育った経験が、キャラクターへの深い理解に繋がっている。父親役のシャイ・アヴィヴィはイスラエルで活躍するベテラン俳優で、息子への想いを全身で表現し、その溢れる愛は涙なしではみられない。さらに、この物語は脚本家ダナ・イディシスの父親と、自閉症スペクトラムの弟の特別な関係をモデルにつくりあげられた。弟のお気に入りでもある、親子の絆を描いたチャールズ・チャップリンの『キッド』(1921)へのオマージュも劇中では描かれている。
ストーリー
売れっ子のグラフィックデザイナーを引退したアハロン(シャイ・アヴィヴィ)は、二十歳になるひとり息子のウリ(ノアム・インベル)と田舎町でのんびりと2人暮らししている。実はウリは自閉症スペクトラムを抱えていて、アハロンが24時間、世話してきたのだ。しかし、別居中の妻、タマラ(スマダル・ヴォルフマン)は将来を心配して、全寮制の特別支援施設への入所を決める。定収入のないアハロンは養育不適合と判断され、行政の決定に従うしかなかった。入所の日。ウリは大好きな父との別れにパニックを起こしてしまう。アハロンは決意した。「息子は自分が守る」こうして2人の逃避行が始まった。
映画『旅立つ息子へ』は2021年3月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国で順次公開!
監督:ニル・ベルグマン
出演:シャイ・アヴィヴィ、ノアム・インベル、スマダル・ヴォルフマン
配給:ロングライド
© 2020 Spiro Films LTD.