実在した男をモデルに“社会”と“人間”の今をえぐる問題作『すばらしき世界』の新ビジュアル2種類が解禁された。
本作は、「復讐するは我にあり」で直木賞を受賞した佐木隆三の小説「身分帳」を原案とした西川美和監督最新作。これまでオリジナルにこだわり続けた西川美和監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本・映画化に挑んだ。主演は、国内外でその演技力を高く評価され続ける名優・役所広司。ほかに仲野太賀、長澤まさみ、橋爪功、梶芽衣子、六角精児、北村有起哉、安田成美らが名を連ね、名実ともに豪華なキャストたちが西川監督のもとに集結した。
人生の大半を刑務所で過ごした男、三上正夫(役所広司)の新たな表情が確認できる2つの新ビジュアルが解禁となった。本作のポスタービジュアルでは前科者の三上が社会復帰に奮闘しもがく様子から現代社会の不寛容や、社会の生きづらさの一遍を表す“絶望とも希望とも取れる”複雑な表情でこちらを見つめる姿が印象的だった。一方で今回解禁された2種類の新ビジュアルで見せる三上の表情は、これまでとは異なる表情をした三上を捉えており、本作の重厚なドラマの部分に焦点を当てたビジュアルとなっている。
三上は、見た目は強面でカッと頭に血がのぼりやすい性格だが真っすぐなくらい優しく、持ち前の人懐っこさと愛嬌で三上を密着するテレビディレクター津乃田(仲野太賀)やスーパーの店長(六角精児)とあっという間に心を通わせていく。この市井の人々の出会いによって三上も周りの人々も影響され、だんだんと変わっていく―。社会にでた三上が何を感じ、何を見たのか。タイトルの「すばらしき世界」とは、何を指しているのか?
新ビジュアル①は、大きな空を見上げながら穏やかな笑顔を見せる三上の柔和な表情を切り取っている。新ビジュアル②でもまた、津乃田と子供たちと一緒に楽しそうにサッカーをしている三上の爛漫な姿が捉えられている。あたたか
い夕日に包まれ子供たちと戯れる様子は、まさに「この世界は生きづらくあたたかい」のキャッチコピーの“あたたかさ”の部分を象徴するビジュアルとなっている。
1月21日(木)に開催された本作のプレミアイベント上映に登壇した役所広司は「この映画を観ていただくと、心のどこかでホッと晴れ晴れするような気持ちになるはず。気に入っていただけたら色々な方々に勧めてほしい」と語り、それに続き仲野太賀は「人間にはまだまだ善意はあるし、手を差し伸べることができる。今は不寛容な社会になってしまっていますが、自分たちの出来る限りの善意を感じてもらいたい」、長澤まさみは「この映画は観た人みんなに寄り添うあたたかさがあります」と、こんな時代だからこそこの映画を観てほしいという思いを観客に伝えた。
人と人とがつながり信頼関係を結ぶ。今までは当たり前のように出来ていた事ができにくくなってしまった現在。本作は社会と“人間の今をえぐる問題作”という側面と、人と人とが関わりあうことの愛おしさ、それによって明日への希望が感じられる作品。社会のルールにとまどい、世間から冷たい目で見られながらも、懸命に人生をやり直そうとする三上に胸が熱くなるとともに、観客それぞれの胸に突きつけてくるようなドラマにも注目だ。
映画『すばらしき世界』は2021年2月11日(木・祝)より全国で公開!
脚本・監督:西川美和
出演:役所広司、仲野太賀、六角精児、北村有起哉、白竜、キムラ緑子、長澤まさみ、安田成美/梶芽衣子、橋爪功
配給:ワーナー・ブラザース映画
©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会