サーチライト・ピクチャーズが贈る最新作『ノマドランド』の特別映像が解禁された。

リーマンショック後、企業の倒産とともに、長年住み慣れたネバダ州の企業城下町の住処を失った60代女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)。彼女の選択は、キャンピングカーに全ての思い出を詰め込んで、車上生活者、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩くことだった。その日その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流とともに、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく。大きな反響を生んだ原作ノンフィクションをもとに、そこで描かれる実在のノマドたちとともに見つめる今を生きる希望を、広大な西部の自然の中で探し求めるロードムービー。主演を務めるのはフランシス・マクドーマンド。

今回、本作でサウンドデザインを務めたセルジオ・ディアスらが本作の映画音響の世界を解説する特別映像が解禁された。ディアスは、2019年にアカデミー賞で監督賞を受賞したアルフォンソ・キュアロンによる『ROMA/ローマ』や、2018年に『シェイプ・オブ・ウォーター』で同じくアカデミー賞監督を受賞したギレルモ・デル・トロによる『パンズ・ラビリンス』、さらには2016年『レヴェナント 蘇えりし者』、2015年『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でアカデミー賞監督賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥによる『バベル』など数々の名監督による名作を手掛けてきたメキシコ生まれの名匠。

劇伴が部分的に使用され、それ以外のパートでは録音された現場の音声でシーンを魅せていく本作において、サウンドデザインはかなり重要なポジション。そこでディアスに白羽の矢を立てたクロエ・ジャオ監督だが「ファーンが本当の自分に出会う場所に鳴っている音像に忠実に劇伴をミックスして欲しかった。さらに、音の響きに観客の感受性を制限するような”過剰な演出”を入れないことをお願いしました。創造的に、実験的に音を鳴らしながら、同時にうそのない、正直な音でもありたいのです」と音の演出にかなりのこだわりをみせていたことを明かしている。

そんなジャオ監督の想いを受けたディアスは「『ノマドランド』が描いているのは、ずばり“心のつながり”だ。それを音風景にいかに反映させるか、それが音響の最も重要な課題だった」と製作当時を振り返る。チームワークを重要視するジャオ監督の撮影はどの作品も少数精鋭で進行され、本作でも撮影クルーはたったの23人。録音技師と演者の距離が心理的、そして物理的にも近くなるため、他の作品とは一線を画したより臨場感のあるリアルな音が録音されるが、ディアスらはその立体感のある音に効果音やサウンドデザインを施すことで、さらに真実味を加えていったそう。

鑑賞者から“まるでドキュメンタリーを観ているようだ”と評価されるほどリアルなシーンが切り取られている本作だが、ディアスは「画面に映らない人や物の何層もの音がシーンを包み込み、奥行きと没入感を与えている。だからフィクションにもノンフィクションにも感じるんだ」とサウンドデザインによる効果に自信を覗かせている。最後に「音響デザインとは”思いやり”がすべてだ。音でメッセージを伝え、観客の感情に強く訴えかける」と持論を語っているディアスだが、本映像で映し出される劇中シーンからも、効果音ひとつひとつが心地よく音を奏で、ファーンの生活感を印象的に彩る様子が見て取れ、ノマドたちの生活をリスペクトしながら音響をデザインしたことが窺える。

特別映像

映画『ノマドランド』は全国で公開中!
監督:クロエ・ジャオ
出演:フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン、リンダ・メイ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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