世界で最も有名な日本人・葛飾北斎の誰も知らない物語―『HOKUSAI』の本編映像が解禁された。
時は江戸。幕府によって表現者たちが自由を奪われていた時代に、自分の道を貫き、ひたすら画を描き続けた絵師・葛飾北斎。名だたる印象派アーティストたちを刺激し、あらゆるジャンルで世界に影響を与え続ける北斎だが、若き日の資料はほとんど残されておらず、その人生は謎が多い。本作は、歴史的資料から残された事実を繋ぎ合わせて生まれたオリジナル・ストーリー。柳楽優弥と田中泯がW主演で若き日と老年期の北斎を体現する。北斎を見出す版元の蔦屋重三郎には阿部寛、晩年の北斎に最も影響を与える戯作者の柳亭種彦を永山瑛太、北斎の一つ先を行く美人画の大家・喜多川歌麿を玉木宏が熱演。
今回解禁された本編映像は、武士という身分を隠しながら筆を取る戯曲者・柳亭種彦(永山瑛太)に、北斎(田中泯)が自身の絵に対する熱い胸の内を明かすシーン。宴会中、浮かない顔をしていた種彦が家の外へ出て物思いにふけっていると北斎の姿が。「今日は冷えますね。」と他愛もない会話をしようとする種彦に「(戯曲を書くのを)やめるんか?」と北斎が切り込み、表現の自由を弾圧する幕府によって筆を折ろうかと迷っていることを告げる種彦。続けて「先生は、絵の為にすべてを捨てられますか?お栄さんもお弟子さんたちも何もかも」と問いかけると、北斎は一点の曇りもない真っすぐな目を種彦に向けて「いつかは…いつかは人に指図されねえで生きていける世の中がくる。生きてるうちにそんな世の中がみてえ!」と種彦の肩を掴み力強い口調で語り、「わたくしもです。」と種彦も北斎の言葉に頷き首を垂れる。
北斎の生きた江戸時代は様々な庶民文化が花開いた時代だった一方、浮世絵や種彦が書く戯曲などは、風紀を乱すものとして幕府からの厳しい処罰を受ける対象ともなった。劇中でも北斎のライバルでもあった歌麿が処罰されたり、版元・蔦屋重三郎は財産を没収される。そんな中、本来ならば芸術を取り締まる立場である武士の生まれの柳亭種彦は、身分を隠しながら命を懸けて戯曲制作に情熱を注ぐ。しかし、厳しい取り締まりのために一度は筆を折ることも考える種彦だったが、北斎が全身全霊を懸け、絵に打ち込む姿に共鳴し、表現の自由を弾圧する幕府に抗うように戯曲を書き続け、己の信念を最後まで貫いていくことになる。北斎そして種彦と、現代にもその名が残る2人の「苦悩」と「心の絆」が描かれるこのシーンは、何ものにも屈せず、信念を貫き物事に打ち込む「決心」が描かれている。
本編映像
映画『HOKUSAI』は2021年5月28日(金)より全国で公開!
監督:橋本一
出演:柳楽優弥、田中泯、玉木宏、瀧本美織、津田寛治、青木崇高、辻本祐樹、浦上晟周、芋生悠、河原れん、城桧吏、永山瑛太/阿部寛
配給:S・D・P
©2020 HOKUSAI MOVIE