『Arc アーク』の完成報告会が6月2日(水)に都内で行われ、芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、小林薫、風吹ジュン、石川慶監督が登壇した。

原作は21世紀を代表するSF作家ケン・リュウの傑作短編小説「円弧(アーク)」(ハヤカワ文庫刊)。原作の息をのむほど斬新な不老不死のシチュエーションと、行間に流れる死生観を引き継ぎながら、映像作品へと鮮やかに転生させたのは石川慶監督。主人公・リナを演じるのは芳根京子。一人の女性の17歳から100歳以上を生き抜くという、キャリア史上最難関の役どころを繊細かつ大胆に演じきった。リナが勤めるエターニティ社の責任者エマに寺島しのぶ。エマの弟で天才科学者である天音役に岡田将生。さらに、物語の重要なカギを握る人物を倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫の3人が演じ、その全身から滲み出る人間味でスクリーンに情感を与えた。人類にとって全てが初めてとなる不老不死の世界を描いた、驚愕と不思議(=センスオブワンダー)に彩られた壮大なるエンターテイメント作品が誕生した。

芳根演じる主人公・リナと寺島演じるリナの人生の師・エマが劇中で披露する、故人を在りしままの姿で保存する技術<プラスティネーション>をイメージし、ストリングスを張り巡らして劇中の雰囲気をそのままにスタイリッシュな装飾が施された会場に登場した芳根京子は「今日を迎えられてとてもほっとしています」とカメラの向こうにいる観客に挨拶。寺島しのぶは「とても不思議な作品が出来上がりました。石川監督の緻密で崇高でとても美しい映像美、みなさんにどう届くのか凄く楽しみです」、岡田将生は「石川慶監督とお仕事をしたいとずっと願っていたのでとても嬉しかったです。いろんなテーマを投げかける作品ですので早く観てほしいです」と挨拶した。

芳根が演じたリナは、ストップエイジング技術によって人類で初めて永遠の命を得る女性。30歳の姿のまま、年齢の変化を表現するという難しい役どころについて芳根は「1人では作れなかった役だなと思っています。撮影の前にいろいろ考えても想像がつかなくって、石川監督とたくさんお話させてもらったんですけど、現場で感じたことを表現しようとなりました。石川監督とは、がっつり二人三脚で同じ歩幅でいろんな感情を共有しながらリナという女性を作っていきました」と石川監督との信頼関係で乗り越えられたこと明かした。

また、「寺島さんの“プラスティネーション”をする姿がを観て、かっこ良すぎて!凄い焦りました」とプレッシャーがあったことも吐露した芳根だが、一方で「私の見せ場はここしかないなと(笑)だから必死でやりました。そして、リナに(“プラスティネーション”の技術を)引き継ぐわけだから、リナよりも絶対に上手くなきゃいけないと思ってたし、プレッシャーがありながらも頑張りました」と芳根演じる主人公の師を演じる身として寺島にもプレッシャーがあったことを明かした。

そんな難役を演じ切った芳根の現場の様子を寺島は「芳根さんは本当にガッツが凄くて!悔し涙を流しながら出来るまで頑張る子で、気づいたら深夜までなんてこともあって、私が止めなきゃと思うくらい(笑)でも、芳根さんの魅力をもっと引き出そうとする石川監督と、それに答えようとする芳根さん2人の姿がとても素敵だったと思います」と芳根を称え、「頑張ったね」と芳根に優しく声をかけた。

続いて、天才科学者でリナの最愛の夫・天音を演じた岡田も「彼女の闘っている姿が、この小さな体のどこからこんなにパワーが湧いて来るのだろうと思って、その姿がすごく美しかった。芳根さんを支えたいという気持ちで現場にたので、リナと天音として映画で生きられたことは僕にとっても幸せな時間でしたし、芳根さんにとってもか幸せだったらいいなと思います」と暖かい言葉を贈ると芳根も「私も幸せでした!」と微笑み合う和やかな場面も。

また、岡田は「この映画のクランクインのシーンがキスシーンだったんですよね…緊張しました(笑)」と明かし、「2度目の共演で役者としての信頼関係はあったけれど、リナと天音としては初めましてだったので、監督と3人で1時間くらい段取りをする中で役柄としての関係を掴んでいきました」と振り返った。芳根は岡田と久しぶりの共演について「天音役が岡田さん“かも”と聞いたとき、“かも”なんて言わないで岡田さんでお願いします!ってお願いしたんです。天音はリナにとってとても重要な役柄だし信頼している岡田さんでとても安心して撮影できました。癒しのまーさんです(笑)」というコメントに、岡田が照れる一幕も。

続いて、本作の内容にちなんで「永遠の命を手に入れたとしたら、100年後には何をしていると思う?」というテーマでフリップトークで、芳根は「答え合わせをしたい」と答え、「劇中のリナと同じくらいまで生きて、果たしてリナと同じことを思うのか」と回答。寺島は「そんなに生きなくて大丈夫」と回答し「もう十分かな、今を生き切ろうと思っているので」と笑いを誘った。岡田は「自分の島を作りたい」と答え「孤独になりたくなりたくて…。自分といて楽しい人だったり価値観の会う人を集めて『一緒にすみませんか』って仲間を探したいです」とさみしがり屋な一面みせ、「どうぶつの森みたい(笑)」という芳根のツッコミに「そうだよね、自分も話していて途中で思った(笑)」と息ぴったりの掛け合いを見せた。

最後に芳根は「完成したこの作品を観た時に、新たなジャンルの映画ができたなと思いました。そんな作品に主演として参加できたこと嬉しく思っています。個人的には、7年ぶりの主演作で気合いもすごくすごく入っています!大きな声で劇場に来てねと言えないことが悔しいですが、美術もヘアメイクも衣装も全て美しくて、劇場で見ていただけると嬉しいです」とメッセージを贈った。

【提供写真】

映画『Arc アーク』は2021年6月25日(金)より全国で公開!
監督・編集:石川慶
出演:芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、井之脇海、中川翼、中村ゆり/倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2021映画『Arc』製作委員会