吉本ばなな著「キッチン」に収録の短編小説を映画化した『ムーンライト・シャドウ』の場面写真が解禁された。
1988年刊行、世界30か国以上で翻訳され、社会現象ともいえる大ヒットを博した吉本ばなな著「キッチン」に収録される短編小説「ムーンライト・シャドウ」は、吉本自身も「初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説」と語る作品で、ファンの中では初期の名作との呼び声も高い。そんな吉本ばななの原点とも言える名作ラブストーリーが、33年の時を経て映画となって生まれ変わる。主人公・さつきを本作が初の長編映画単独主演となる小松菜奈、さつきの恋人・等役を宮沢氷魚が演じ、以前から原作のファンだったというマレーシア出身のエドモンド・ヨウ監督がメガホンをとる。これからのアジアを牽引するフレッシュかつ実力あるキャスト・スタッフが集結した。
本作でメガホンをとったのはマレーシア出身の映画監督、エドモンド・ヨウ。学生だった2009年に手掛けた短編映画『kingyo(邦題:金魚)』がヴェネチア国際映画祭のコンペ部門に正式招待され脚光を浴びると、翌年に監督を務めた『Inhalation(邦題:避けられない事)』が釡山国際映画祭・短編部門グランプリに輝くなど、早くからその才能に世界中から熱視線が向けられた。近年も2020年には監督・脚本を務めた日本とマレーシアの共同製作映画『Malu 夢路』が第33回東京国際映画祭TOKYOプレミア2020に招待されるなど、その活躍は留まることを知らない。
そんなエドモンドは、学生時代には早稲田大学大学院で映画制作を学び、日本文学にも造詣が深く、自身の映画作りにおいては、川端康成や三島由紀夫などからも大きく影響を受けているという。在学中に吉本ばななの「キッチン」や「ムーンライト・シャドウ」も読んでおり、今回のオファーを受け「嬉しくて、とても興奮しました。」と、どんな映画にしたいか、主人公をどんな風に描くのか、熱い想いをしたためた手紙をプロデューサーへ送っている。
原作者の吉本ばななも「エドモンド監督の短編をいくつか観たのですが、ちょっとだけ日常からふわっと浮いている感じが、この原作『ムーンライト・シャドウ』に合っているんじゃないかと思いました」とエドモンドの生み出す幻想的な映像美と完成度に厚い信頼を寄せている。今回、まさにエドモンド監督だからこそ生み出された映画観・世界観とこだわりが垣間見られる、主人公・さつきの映えすぎる部屋の場面写真が解禁された。
可愛らしいアートボードや個性的なデザインが施された掛時計が、淡いブルーの壁一面にところ狭しと飾られ、さつきのアイデンティティーを象徴するような部屋をはじめ、ポップでカラフルなパッチワークのカーテンやチェア、世界中のアンティーク調の小物に溢れている本棚など、隅々まで丹念にこだわり抜かれたインテリア、どれも目を奪われてしまうこと間違いなし。
エドモンド監督自身もこの仕上がりには充実感を覚え、「さつきの部屋は、スペインのペドロ・アルモドバル監督の作品やいくつかのヨーロッパ映画を参考にしています。この映画の色のトーンを決めるにあたっては、撮影監督のコン・パフラックと何度もディスカッションを重ね、コンのセンスに任せたところも大きいです」と、鮮やかなセットデザインも高く評価されている巨匠ペドロ・アルモドバルにインスパイアを受けたことを明かしている。
さらに、作品全体の映像のカラーはクシシュトフ・キェシロフスキやルカ・グァダニーノの作品から影響を受けているそう。まばゆいほど美しく神秘的な映像美で表現することを得意とするエドモンド・ヨウ監督の手により、原作の持つファンタジックな世界観がさらに深まりスクリーンに広がっていく本作。世界中から期待を寄せられるエドモンド監督が撮った日本の情景に注目すると共に、アーティスティックな背景やインテリアも注目したい。
映画『ムーンライト・シャドウ』は2021年9月10日(金)より全国で公開!
監督:エドモンド・ヨウ
出演:小松菜奈、宮沢氷魚、佐藤緋美、中原ナナ、吉倉あおい、中野誠也、臼田あさ美
配給:エレファントハウス
©2021映画『ムーンライト・シャドウ』製作委員会