10月30日(土)より開催される第34回東京国際映画祭で、主演・古田新太×共演・松坂桃李映画『空白』の公開を控える吉田恵輔監督特集が実施されることが決定した。
吉田恵輔監督の最新作『空白』は、スターサンズの河村光庸プロデューサーが企画、吉田恵輔とタッグを組み、現代の「罪」と「偽り」、そして「赦し」を映し出すオリジナル脚本で挑むヒューマンサスペンス。物語は、中学生の万引き未遂から始まる。中学生の少女がスーパーで万引きしようとしたところを店長に見つかり、追いかけられた末に車に轢かれて死亡してしまった。娘のことなど無関心だった少女の父親は、せめて彼女の無実を証明しようと、店長を激しく追及するうちに、その姿も言動も恐るべきモンスターと化し、関係する人々全員を追い詰めていく。
今回、第34回東京国際映画祭にて、吉田恵輔監督特集が実施されることが決定した。東京国際映画祭では、昨年まで「Japan Now」部門として現在の日本を代表する邦画作品を紹介してきたが、今年から「Nippon Cinema Now」部門と名称を改め、より多様性に富んだ邦画作品を世界に向けて紹介していく。「Japan Now」部門では、今一番海外へ紹介したい映画人として、これまでは原田眞人監督、岩井俊二監督、安藤サクラ、蒼井優、満島ひかり、宮﨑あおいら女優4人、役所広司、大林宜彦監督、深田晃司監督といった既に映画界の第一線で活躍してきていた映画人を特集してきたが、今年はこれから世界に打って出るであろうアップライジングな新しい才能に焦点をあてる形で特集を組む。
その白羽の矢が立ったのが、9月23日(木・祝)に最新作『空白』の公開を控える吉田恵輔監督。近年『ヒメアノ〜ル』(2016)、『犬猿』(2018)、『愛しのアイリーン』(2018)、『BLUE/ブルー』(2021)と精力的に作品を発表し、そのいずれの作品も観る人の心を強く揺さぶる衝撃作となっており、ストーカー、兄弟姉妹、国際結婚、ボクシング、加害者被害者、それぞれの土壌で燻し出される人間関係の狂気ともいえる純粋さ、もしくは純粋なまでの狂気を映画的な視線で描き切るその才能は、今後間違いなく国内外の映画祭で注目されるであろう監督である。
今回の特集では『空白』を始め『ヒメアノ~ル』、『BLUE/ブルー』などの作品が上映される予定。
吉田恵輔監督 コメント
映画監督を目指して頑張っていた頃、東京国際映画祭は客として観に行くものでした。そこで自分の作品が上映されるとは夢にも思わなかったです。これは夢が叶ったと言っていいですよね? 嬉しくて泣いてます。しかも特集上映とは嬉しくてお漏らししてます。
市山尚三(第34回東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)コメント
田恵輔の映画を最初に見たのは『ヒメアノ~ル』だった。こんな凄い映画を撮る監督がいたのか、と過去作をさかのぼり、それまで見ていなかったことを恥じた。ごくありふれた人々からここまでのドラマを引き出す力はただ事ではない。『Blue/ブルー』、『空白』という2本の傑作が公開される2021年、この特集を組めたことは大きな喜びである。
ジョヴァンナ・フルヴィ(映画祭プログラマー、キュレーター)コメント
Kuhaku (Intolerance) is a very strong film, with a very good script, good editing and acting.
(『空白』は素晴らしい脚本、編集、演技に裏打ちされた、とても強烈な作品です)
マーク・シリング(The Japan Times シニア映画批評家)コメント
“Intolerance” uses a tragic accident, with no one really to blame, to investigate not only how the mass media preys and the local community shuns – both all-too-familiar tropes in Japanese films – but how the process of grieving and forgiveness truly works, without painting the participants purely wrong or right. Like Yoshida’s previous films it traffics in extreme acts and emotions, but with subtlety and nuance and, for even the weak-spirited and wrong-headed, insight and compassion.
(『空白』は誰も責められない悲劇的な事故を舞台に、邦画ではなじみ深い題材である、いかにマスメディアが餌食にし、いかに地域社会が疎外するかということを掘り下げるだけでなく、悲しみと許しのプロセスがどのように進んでいくのかを、関係者を単に善悪で描くことなく、上手く表現しています。吉田監督の過去作品のように、本作は極端な行動と感情が行き来しつつ、繊細でニュアンスがあり、弱気でひねくれものでさえ、洞察と思いやりがあります)
映画『空白』は2021年9月23日(木・祝)より全国で公開!
監督・脚本:吉田恵輔
出演:古田新太、松坂桃李、田畑智子、藤原季節、趣里、伊東蒼、片岡礼子、寺島しのぶ
配給:スターサンズ/KADOKAWA
©2021『空白』製作委員会