『息をするように』の初日舞台挨拶が9月18日(土)にユーロスペースで行われ、主演の伊藤万理華、枝優花監督、主題歌を担当したKarin.が登壇した。
本作は、映画『少女邂逅』のほかドラマ制作やアーティストのミュージックビデオ制作などを行う枝監督が、シンガーソングライター・Karin.の楽曲にインスパイアされ、伊藤万理華を主演に迎えて手掛けたみずみずしい青春短編映画。アイデンティティも性自認も定かでない思春期の少年アキ(伊藤万理華)が、転校先で出会ったキイタ(小野寺晃良)と過ごすことで、心の奥に澱のように溜まっていた屈託を、静かに前向きに受け入れていく姿を描く。
本作が制作された経緯について「Karin.さんから楽曲を含めて、MVだったりのプロデュースをお願いしますと言われて。嬉しかったんですけど、私がご一緒したいと思っていた枝さんにお願いをした」と明かした伊藤。そのKarin.は、伊藤について「乃木坂46に加入している時から応援していた」といい、さらに伊藤が出ている映像を見ていたKarin.は「いつかご一緒できたらとお話をしていたらこんなことになっていて…言霊を信じました」と笑顔を見せた。
一方で枝監督も本作を手掛ける半年前に偶然見た伊藤のSNSで気になっていたというが、そのきっかけを「なんでブレた写真とか上げてるんだろうと気になっていて。そこでシンパシーを感じた」と明かした。そんな枝監督との作業に「会った時に(自分と)同じ感じが…(笑)お会いしたことなかったけど、どこかでお会いする方だと思った。自然と馴染んだ感じがして、仲間だと思って(笑)」とすぐに打ち解けた様子を見せた伊藤。枝監督も「会ったことがないのに、ずっと知り合いな感じがして、何も違和感なくしゃべっていました」と振り返った。
撮影時にはKarin.も現場を訪れたようで、伊藤の演技を目の当たりにして「心の内側から出てくる思いを、そのまま体で表現できるのって本当にすごいなと、ただ眺めていました」とその演技に圧倒されていた様子だった。
また、本作の話を受け、枝監督と初めて会った頃は「自分と向き合う期間だった」という伊藤だが、本作に取り組むことで「自分が向き合っていたものが特別じゃないとか、普通か普通じゃないかとか、線引きが必要ないということを改めて知る機会をいただけた」と語る伊藤。さらに「今、役者としてやらせてもらったりしているんですけど、その前はアイドルだったり、一個の肩書でフィルターを通して見る。そういうのはこれからも消えないのかもしれないけど、そこで立ち止まる必要がないというか、境界線がないものだと思って。男女で決める必要があるのかとか、そのカテゴリにハマる必要があるのかということを共鳴できた気がして嬉しかったです」と語った。
最後に伊藤は「自分がつらい時にアキとして演じたものだったので、その記憶が残っています。自分がつらいなと思っているものが、アキを通して作品に残ることが嬉しくて、それを見てもらって、自分ってなんなんだろうと思ったとしても、自分は自分でしかないとプラスに捉えて欲しい作品です」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
映画『息をするように』は2021年9月17日(土)よりユーロスペースにてレイトショー公開!
脚本・監督:枝優花
出演:伊藤万理華、小野寺晃良
配給:ブリッジヘッド
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