ドキュメンタリー映画『人と仕事』の完成報告イベントが9月16日(木)に都内で行われ、有村架純、志尊淳、森ガキ侑大監督が登壇した。
『新聞記者』(19)、『パンケーキを毒見する』(21)など、話題作を世に送り出しているスターサンズ・河村光庸プロデューサーが企画、有村架純と志尊淳という、名実ともに今最旬の2人を迎え、コロナに打ちひしがれた日本の職場で、「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる保育士、介護福祉士などの人々、その他、声なき仕事人達の現状をレポートする。監督は、『さんかく窓の外側は夜』の森ガキ侑大。2人の俳優が、決して役ではなく、一仕事人として、現代社会と向き合い、仕事の意味を再発見し、私たちが生きて行く上で切っても切り離せない仕事とというものの価値を、改めて見出していく本作。
もともとは森ガキ侑大が監督を務め、有村架純、志尊淳が出演する劇映画『保育士T』を制作する予定だったが、昨年4月の緊急事態宣言の発出に伴い、撮影協力を得ることができず、クランクイン1か月前に企画がとん挫した。「難しいということでショックだった」と振り返る森ガキ監督だが、そのすぐ後に同作の河村プロデューサーから電話があり「『ドキュメンタリーにしないか?』と。いただいた企画が今の時代に作ったほうがいいなと本能的に思いました」と制作過程を明かした。
そんな中で「右も左も分からないまま、前にだけ進むという感じだった」と振り返る有村は「撮影ができなくなってしまったのは当然ショックだし、心の準備もしていたので、それを“ドキュメンタリーにしたいか”とおっしゃられたときに、どう租借しながら進めていけるのかなという不安が生じてしまった」と悩みがあったことを明かした。しかし、森ガキ監督らとの会話を経て、さらに「志尊さんも一緒に取り組んでくださるということで心強かった」と振り返った。
その志尊も「(『保育士T』を)撮れるだろうとどこかで思っていた自分がいて。日に日に状況が悪化していく中で、撮れないというのはもちろんつらい」と振り返りつつ、ドキュメンタリー映画の提案については「どうしたらいいんだろうという思いもあったんですけど、(プロデューサーの)河村さんの熱量がすごくて」と出演する決意をしたことを明かした。
作中では、有村と志尊が保育士やバスケ選手、介護施設職員などさまざまな仕事に従事する人々にインタビューを重ねていく。そのインタビューについては「こういう人に話してみたいと2人で挙げた」と明かす志尊だが、撮影していく中でも苦悩に直面していたようで「インタビューを受けてくださった方が、インタビューを受けてよかったと言ってもらえるようにがんばった」とコメント。
また、実際に保育園を訪れた際には「ものすごく楽しかったと同時に、毎日されている保育士さんはすごいなと思いました」という志尊、有村も「楽しい時間を過ごさせていただきました。とてもエネルギーをいただいて元気になった。でも、それは毎日じゃなくてその日だけ行って、数時間触れ合ってるから楽しかったと思えるわけで、毎日過ごすとより大変な思いをされていると実感した」とコメントした。
さらに、有村と志尊が2人きりで部屋の中で会話をするシーンでは、「本当の2人をもうちょっと見てみたかった」という森ガキ監督のアイデアで、カメラだけを残して2人きりにしたというが、志尊は「森ガキさんが『ほぼ使わない記録用だから、ぶっちゃけトークして』。それだったら本音でぶつかれるかなと思ったらすごい使われてた(笑)」と明かし、有村も「結構使ってんなって思いました(笑)」と笑いあった。
作品を通して、“俳優”という仕事について有村は「自分にできることは、現場で100%の結果を残せるように努めていくことしかできないので。それはコロナ前でもコロナ禍でも変わらないんですけど、よりみなさんの心に残る作品を届けていきたいなという思いは強くなった気がします」、志尊は「正解は分からないですけど、自分でできることを精一杯やりたいという思いです」と語った。
【写真・文/編集部】
映画『人と仕事』は2021年10月8日(金)より全国で3週間限定で劇場上映!
監督:森ガキ侑大
出演:有村架純、志尊淳
配給:スターサンズ/KADOKAWA
©2021『人と仕事』製作委員会