犬童一心監督が世界的なダンサーとして活躍する田中泯の踊りと生き様を追った映画『名付けようのない踊り』の公開日が2022年1月28日(金)に決定し、併せて予告編が解禁、著名人からのコメントが到着した。

1978年にパリデビューを果たし、世界中のアーティストと数々のコラボレーションを実現、そのダンス歴は現在までに3000回を超える田中泯。映画『たそがれ清兵衛』(02)から始まった映像作品への出演も、ハリウッドからアジアまで広がっている。そんな独自の存在であり続ける田中泯を、『メゾン・ド・ヒミコ』(05)への出演オファーをきっかけに親交を重ねてきた犬童一心監督が、2017年8月から2019年11月まで、ポルトガル、パリ、東京、福島、広島、愛媛などを巡りながら撮影。この間に田中泯は72歳から74歳になり、5か国、48か所で90の踊りを披露。その一部を切り取り、一本の稀有なる映画が誕生した。山村浩二によるアニメーションを交えながら、情感豊かに田中泯の人物像を紐解く。

今回解禁された予告編は、女優・田中裕子のナレーションのもと、田中泯がオイルを全身に纏いながら踊るシーンから始まり、サンタクルス、東京、パリ、福島など、各地で踊る田中泯に身を委ね、“田中泯の踊りと旅にでる高揚感”に浸る事ができる。数々の踊りの<はざま>には、43年前のパリ秋芸術祭で衝撃の海外デビューを果たした当時の写真や、世界をどよめかせた裸体での踊り、そして山村浩二のアニメーションで描かれた子供時代の記憶が現れ、誰も形容することのできない田中泯の辿ってきた道を振り返る。ぶれない生き方が徐々に紐解かれてくその瞬間、アルシオーネの「愛のサンバは永遠に」の音楽にのせて浮かび上がる「踊る身体は野良仕事で作る」の文字。野菜の香りをかぎながら農作業をする“田中泯”が顔を覗かせ、踊っている時とはまた別の表情を垣間見る事となる。

予告編

大泉洋(俳優)

泯さんという人はなんでしょうねー。もう、本質だけの人、物事の本質しかない人みたいなイメージでしょうか。
薄暗い光の中、なんの音もなく、酷くゆっくりと、たまに激しく踊る泯さんを見て、何故か目が冴え、頭がすっきりする感覚になるのは、それが人間の本質を見せているからなのかなと思うのです。泯さんが会ってくれてるという事は、自分もそこそこ真面目に生きれているのかな?と思わせてくれる、そんなありがたい人です。

岡山天音(俳優)

泯さんとご一緒したのはドラマの現場で、たったの数時間だけでした。
ですが直に対面する「田中泯」という存在そのものに、心を射抜かれてしまいました。
「生きる事はまだまだ面白くなる」と、この映画に映る泯さんに教えてもらった気がします。

オダギリジョー(俳優)

泯さんに会うたびに、勝手に喝を入れてもらっている。
『ぼんやり生きてないか?』
『自分の身体や感覚を甘やかしていないか?』
泯さんは決してそんな事は言わないが、心の中で勝手に怒られている。
いや、怒られるだけじゃない。
人間は生きるだけで芸術なんだと思わせてくれる。

崎山蒼志(シンガー・ソングライター)

印象的な言葉が何度もありました。
その場その場と、田中泯さんの「場踊り」の映像に息をのみます。
時に体が炙り返すような、感覚的に私自身も蘇るような気持ちでした。
繰り返しみたい映画です。

笑福亭鶴瓶(落語家)

映画「たそがれ清兵衛」を見て〝この人だれ?″と思ったほど印象的でそれからずっと気になってて
直接お会いしたのは映画「アルキメデスの大戦」の本読みの時です。
とにかくしゃべりやすくてすぐに電話番号も交換させてもらって、仲良くなりましたね。
バラエティにほとんど出られないので、観ているこっち(側)が真っ白の状態で観れてどんな役もハマっているというか、しっくりくるんですよね。特に映画「いのちの停車場」の父親役と映画「HOKUSAI」の葛飾北斎は直接電話で話したくらい素晴らしかったです。
こんなに真っ白の状態で観れる俳優はめずらしいですね。ほんと刺激を受けています。

永山瑛太(俳優)

泯さんとおでん屋さんにいきました。
日本酒を2人で美味しく頂きながら泯さんのお話を聞いていました。

宇宙、星、光、土、生きる。
呼吸、苦しみ、怒り、生きる。
踊り、踊らない、静と死、生きる。

泯さんとおでんと日本酒。

時間は止まっていました。

橋爪功(俳優)

泯さんから時折、野菜達が届く。就中、じゃがいもが凄い!
我が家では「みんじゃが」と呼んで、敬意を表して当分の間、家の玄関に居て貰うことにしている。

長谷川祐子(キュレーター/金沢21世紀美術館 館長)

映像で田中泯さんのさまざまな場での踊りの展開をみて、「場踊り」の意味が少しだけわかったような気がした。
おそらく彼は何の予見もなくその場に立って踊り始める、場所が彼に「動きという生命」をあたえる。
その生命は田中泯というヒトには属さない。「生命」はその場の空気の中に生まれて、そこにいるあらゆるもの、観客、ネコ、蚊や木々や鉄くずの気配を吸い込み、それらに自らの呼気を吹き込み、生命を共振させて、そして終わる。
現れては消える生命は名前をもたないゆえに、その場を共有したものの記憶に生き続ける。

原田マハ(作家)

その踊りは、どうしようもない焦りであり、
やり場のない怒りであり、
途方もない悟りであり、
とめどない祈りであり、
そして、結局、
名付けようのない踊りである。

美波(女優)

田中泯さんの表現を通し、私はずっと探し求めていた世界を垣間見た。
演じるのではなく存在すること。物質そのものに入り込み、同化していくことなのだと。
土に帰る必要がある現代、この映画はそのガイドになっている。

宮沢りえ(女優)

泯さんから、踊ってごらんというお言葉を間に受けてしまった私は
plan-Bで泯さんの目の前で、体現することになった。
泯さんの眼差しとコトバで、みるみるうちに心の色んなものが剥ぎ取られて、
繕うものを失って怖くなった私は、わんわん泣いてしまった。
その時、「さぁ、ここからだ」と泯さんが嬉しそうな顔をした気がして、
自分の中に、本当の気というマグマが湧いてくるのを感じた。
この映画を観てあのplan-Bでの無我夢中の濃くて深い深い時間が浮かび上がりました。

役所広司(俳優)

田中泯さんの圧倒的な存在感の秘密が、この映画を観て少しだけ見えたような気がする。
一瞬も目が離せない踊り、彼の中で何が起こり、何が見えているのか?
ゆるぎない集中力と隙の無い美しい肉体は本物の芸術品!
映画に収録されている泯さんが育てたジャガイモ、味の方はどうなんだろう?

山田洋次(映画監督)

田中泯。彼の表現と姿。その生き方すべてがアートなのだ―
映画『たそがれ清兵衛』での出会いの時から、ぼくはそう思っている。

『名付けようのない踊り』は2022年1月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9、Bunkamuraル・シネマほか全国で公開!
脚本・監督:犬童一心
出演:田中泯、石原淋/中村達也、大友良英、ライコー・フェリックス/松岡正剛
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2021「名付けようのない踊り」製作委員会