11月8日(月)まで開催中の第34回東京国際映画祭では、目にする機会が少ない本国版ポスタービジュアルを見ることができる。
東京国際映画祭では、公開が決まっていない作品もあり、本国のポスタービジュアルを見ることができる貴重な機会となっている。そのため、地域や作品によって趣向が異なるシンプルでデザイン性が高く、見る人により捉え方が異なるのも面白い。また、予告編とはまた違う作品の魅力があり、ポスターからどのような作品なのかそれぞれで想像することができ期待が高まる。
コンペティション部門『ヴィラは海の夢を見る』
とてもシンプルでタイトル通り、ヴィラと思われる女性が水の中にいるものたが、その女性の顔はなんとも言えない悲しそうな少し怒っているようにも見える、表情を浮かべている。本作はヨーロッパで最も若い国であるコソボ共和国の女性監督であるカルトリナ・クラスニチのデビュー作。男性社会の秩序に挑むヒロインが描かれている。
ストーリー
夫の突然の自殺の後、ヴェラは家がギャンブルの借金の抵当になっていたことを知らされる。
ワールド・フォーカス部門『スワン・ソング』
可愛らしいペールトーンカラーの中にライターを持ちタバコを吸っている男性の姿がなんとも印象的なこちらのポスター。ウド・キア演じる元ヘアドレッサーの話だと聞くと、なんともおしゃれなポスターの意味が少しわかってくる。かわいらしいプードルのブローチにハットにスカーフは作品の予告編にも登場しているため彼のトレードマークなのかもしれない。
本作は毎年3月にアメリカのオースティンで行われている複合フェスティバルのサウス・バイ・サウスウエストをはじめ、多くの映画祭を熱狂させた感動作。
ストーリー
養護施設に暮らす元ヘアドレッサー、パットは久々の仕事の依頼を受ける。パットは施設を抜け出し最後の仕事に向かうが…。
ワールド・フォーカス部門『ムリナ』
映画のポスターとは思えないようなシンプルなもの。破れた白い水着とピンクの文字が印象深い。クロアチアのアントネーター・アラマット・クシヤノヴィッチ監督のデビュー作でカンヌ国際映画祭の最優秀新人監督に贈られるカメラ・ドールを受賞している。
ストーリー
クロアチアの島に住む10代の少女は抑圧的な父と対立する。父の友人が訪ねてきたことを機に、少女の外の世界への関心が高まる。
アジアの未来部門『最後の渡り鳥たち』
なんとなく有名なアニメーションを思い浮かべてしまうポスターだが、渡り鳥と世界から切り離されているように見えるテントが印象的なポスター。本作はノマド(遊牧民)の家族ドラマが描かれているので、テントと土地が浮いているのは遊牧民を表しているのかもしれない。
ストーリー
夏と冬が来る度にラクダやヤギとともに移住するテント暮らしの遊牧民の家族。伝統的な暮らしと近代化の間で揺れるなか、移動の季節が巡ってくる。彼らはどんな未来を選択するのか?
【文/片岡由布子】
第34回東京国際映画祭は2021年10月30日(土)~11月8日(月)に日比谷・有楽町・銀座地区で開催!
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