11月8日(月)まで開催中の第34回東京国際映画祭では、目にする機会が少ない本国版ポスタービジュアルを見ることができる。

東京国際映画祭では、公開が決まっていない作品もあり、本国のポスタービジュアルを見ることができる貴重な機会となっている。そのため、地域や作品によって趣向が異なるシンプルでデザイン性が高く、見る人により捉え方が異なるのも面白い。また、予告編とはまた違う作品の魅力があり、ポスターからどのような作品なのかそれぞれで想像することができ期待が高まる。

アジアの未来部門『世界、北半球』

『世界、北半球』


ダークな色合いに男性と骸骨が目を引く。その上には木の下に座り込む少年の姿が見られる。本作はイランの農村に住む一家が借りた農地から人骨が見つかるという物語。骸骨と隣り合わせに描かれている人物の意味とは・・・。
イラン出身のホセイン・テヘラニ監督渾身のデビュー作となる。

ストーリー

14歳の少年は父のいない家族の中で重要な働き手。母の希望で農地を借りて耕すことになるが、地中から人骨が見つかり家族は翻弄されていく。

コンペティション部門『一人と四人』

『一人と四人』
©Mani Stone Pictures


黒と赤で描かれ、扉から覗き込む、角が折れた鹿の姿が印象的なポスター。本作は密猟者が横行している雪山での出来事を描いているが、密猟から赤い色合いが血のようにも感じられる。チベット映画の雄、ペマ・ツェテンがプロデュースし、チベット映画期待のジグメ・ティンレー 監督のデビュー作。

ストーリー

養護施設に暮らす元ヘアドレッサー、パットは久々の仕事の依頼を受ける。パットは施設を抜け出し最後の仕事に向かうが…。

ワールド・フォーカス部門『ベネシアフレニア』

『ベネシアフレニア』
© 2021 POKEEPSIE FILMS S.L. - THE FEAR COLLECTION I A.I.E


ゲームやアニメーションのようにも見える本作のポスター。70年代風のスラッシャー・ホラーを描いており、ポスターにも仮面を被った人物が骸骨の上に立っている様子から物語を彷彿させる。『気狂いピエロの決闘』でヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞、脚本賞を受賞経験がある、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督の最新作。1970年代イタリアの“ジャッロ映画”へのオマージュを捧げた作品となっている。今年で18回目の開催となるラテンビート映画祭共催作品。

ストーリー

ヴェネチアを訪れたスペイン人観光客が次々と殺害される。その陰には街を外国人から取り戻そうとする秘密結社の存在があった。

【文/片岡由布子】

第34回東京国際映画祭は2021年10月30日(土)~11月8日(月)に日比谷・有楽町・銀座地区で開催!
©2021 TIFF