マット・デイモン主演のサスペンス・スリラー『スティルウォーター』で、マット・デイモン演じるビルの娘アリソン役を演じるアビゲイル・ブレスリンのオススメ作品4選を紹介する。
第88回アカデミー賞作品賞受賞『スポットライト 世紀のスクープ』のトム・マッカーシー監督最新作である本作。フランス・マルセイユを舞台に、殺人罪で捕まった娘の無実を証明するため、父親が真犯人を探し出すサスペンス・スリラー。主演はマット・デイモン。異国の地での真犯人探しに奮闘するアメリカ人の父親ビルを、泥臭くもリアルに体現し、海外メディアからは「最高の演技を披露した」(NERDIST)と絶賛された。デイモンは、リドリー・スコット最新作『最後の決闘裁判』の公開でも注目が集まる。
6歳の時にM・ナイト・シャマラン監督の『サイン』(2002)で映画デビューしたアビゲイル・ブレスリン。そこから子役として様々な作品に出演するが、中でも『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)のオリーヴ役でアカデミー賞にノミネートされるなど大ブレイクを果たす。それ以降も、アニメ作品『ランゴ』(2011)や大ヒットコメディ『ソンビランド』シリーズなど、印象的なフィルモグラフィーを形成。そして新たに、その作品群に『スポットライト 世紀のスクープ』でアカデミー賞作品賞を受賞したトム・マッカーシー監督の新作『スティルウォーター』が加わる。
『スティルウォーター』の中にかつての幼かったイメージはなく、殺人の罪で収監されるが、断固として無罪を主張する難しい役どころを見事演じきっている。インタビューでは「参加する全てのプロジェクトで成長し、変わることを望んでいる」と向上心を覗かせるアビゲイル・ブレスリン。「本作で、自分より優れている人と働き続けたいとどれほど自分が思っているか気づいた」と、ますます仕事に対する意欲を燃やす彼女に今後も目が離せない。今回はそんなアビゲイル・ブレスリンのこれまでの出演作を振り返る。
『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)
ミスコンに憧れる9歳の少女オリーヴ。ある日、こども版のミスコン「リトル・ミス・サンシャイン」の予選を通過したことを知ったオリーヴは、家族総出でテキサスから会場のあるロサンゼルスまでミニバスで出発する。ヘロイン中毒の祖父、口を聞かないことを誓った兄、恋人にふられ自殺未遂を図ったゲイの叔父、成功理論で一山当てようとする父。そんな個性的な家族との旅は、まとめようとする母の努力もむなしく、予想通りハプニングの連続に。そんな中、ミニバスが老朽化により故障してしまう。一家は無事コンテストに間に合うのか?アビゲイル・ブレスリンはオリーヴを演じ、ピュアで愛くるしいその姿で、世界中の映画ファンを虜にした。
『幸せのレシピ』(2007)
マンハッタンのレストランで料理長を務めるケイト。料理の腕は一流だが、コミュニケーションの取り方に難があり、オーナーの命令でセラピーに通わされているほどだった。ある日、ケイトの姉クリスティーンと姪ゾーイが交通事故にあってしまう。幸いにもゾーイは無事だったが、亡くなったクリスティーンはシングルマザーで彼女の元夫とも連絡が取れない。ケイトはゾーイと一緒に暮らすことを決める。1週間の休暇を命じられたケイトだったが、店が気になり訪れると、「ケイトと一緒に働くためにこのレストランを選んだ」と語るニックという男が雇われていた。アビゲイル・ブレスリンは母を亡くし喪失感を抱えるゾーイを演じた。圧巻の演技で観客を驚かせた。
『ゾンビランド』(2009)
謎のウイルスが蔓延し、アメリカに住む人間の大半がゾンビ化した世界。引きこもりの大学生コロンバスは、「ゾンビの世界で生き残るための32のルール」を作り、慎重に生き延びていた。彼は両親の住むオハイオ州コロンバスへと向かう途中、屈強な男タラハシーや、詐欺師姉妹ウィチタとリトルロックと出会い行動を共にする。ウィチタからオハイオがすでに壊滅状態であることを知らされたコロンバスは実家に戻ることをあきらめ、3人と共にゾンビがいないと噂される遊園地パシフィック・プレイランドに向かうが・・・。アビゲイル・ブレスリンは、エマ・ストーン演じるウィチタの妹リトルロック役で出演。その他、ジェシー・アイゼンバーグ、ウディ・ハレルソンなど豪華俳優陣に囲まれながら存在感を発揮した。
『スティルウォーター』(2021)
留学先で投獄された娘の無実を証明すべく、アメリカから単身フランスへ渡ったビル。かつてビルは、アルコールやドラッグにまみれた生活を送り娘とも疎遠になっていたが、信頼を取り戻すためようやく一念発起したのだ。しかしフランスでの捜査は難航。言葉の壁、文化の違い、複雑な法制度に阻まれ、手がかりは一向に得られない。果たしてビルは愛する娘を助け出すことができるのか?アビゲイル・ブレスリンは、ガールフレンドのレナを殺害したとして9年の刑に服しているアリソンを演じた。マット・デイモン演じるビルとの面会室での激しいやり取りや、希望と諦念が入り混じった繊細な佇まいなど、役者としての凄みを確かに感じる一本。
アビゲイル・ブレスリン(アリソン・ベイカー)ABIGAIL BRESLIN (Allison Baker)
1996年4月14日生まれ、アメリカ合衆国ニューヨー州出身。2006年のサンダンス映画祭を皮切りに高い評価を得た作品『リトル・ミス・サンシャイン』のオリーヴ役で広く知られている。アカデミー賞にノミネートされたほか、東京国際映画祭で最優秀女優賞を受賞、全米映画俳優組合賞および英国アカデミー賞の最優秀助演女優賞にもノミネートされた。その他の主な出演作は、『サイン』(02)、『幸せのレシピ』(07)、『私の中のあなた』(09)、『ソンビランド』シリーズ(09、19)、『8月の家族たち』『ザ・コール 緊急通報指令室』(ともに13)、『マギー』(14)など。また、2008年にはショーウェストから「未来に輝く女優賞」を受賞。女優業以外でも、全国反家庭内暴力連合での活動が評価され、グリニッジ国際映画祭からライジング・チェンジメーカー賞を受賞したほか、国立女性史博物館からも表彰された。2015年には初の著書「ちょっとおかしく聞こえるかも」を出版。
『スティルウォーター』は2022年1月14日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネクイントほか全国で公開!
監督・脚本:トム・マッカーシー
出演:マット・デイモン、アビゲイル・ブレスリン、カミーユ・コッタン、リル・シャウバウ、イディル・アズーリ
配給:パルコ ユニバーサル映画
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