『グッバイ、ドン・グリーズ!』のスペシャルトーク付き試写会が1月9日(日)に都内で行われ、いしづかあつこ監督、吉松孝博(キャラクターデザイン)、松村沙友理が登壇した。

大ヒット作『宇宙よりも遠い場所』を手掛けたいしづかあつことMADHOUSEによる本作で描かれるのは、少年たちの奇跡のような出逢いの物語。いつもと違う夏休みから始まる冒険の果てに、少年たちがたどり着くのは、炎と氷の国・アイスランド。自らを見つめ、世界を超えて、少年たちが手にしたものとは……。主人公・ロウマ役を花江夏樹、秀才で病院の息子だが、小学校のときにロウマと出会い「ドン・グリーズ」を結成したトト役を梶裕貴、ある事情からロウマの住む田舎町にやって来て「ドン・グリーズ」の輪に加わる少年ドロップ役を村瀬歩が演じる。

イベントには、いしづかあつこ監督と、本作のキャラクターデザインを担当した吉松孝博、さらに月刊Newtypeにて連載中の「Nogizaka Newtype」の元レギュラーメンバーで、自身もアニメ好きを公言している元乃木坂46の松村沙友理がスペシャルゲストとして登壇した。

本作は、「宇宙(そら)よりも遠い場所」(「よりもい」)に続く劇場オリジナルアニメーションということで、松村から「どのような経緯で企画が立ち上がったか」という質問に、いしづか監督は「それらしいきっかけはあまりない。いつも一緒に制作しているこのメンバーは、次はなにやる?みたいな会話が自然と出てくるチーム。いつの間にかふんわりあった」と意外な回答が。こういう話にしようとなった理由については「なんとなくオリジナルだよねという空気があった。もしかしたら私が劇場やりたいといったのかもしれない。記憶にはないけど(笑)」とまさかの発言。

しかし、オリジナルに対する想いについては「お客さんにダイレクトに自分の想いをぶつけて、ダイレクトに受け取る機会が大切で、それが一番できるのがオリジナル」と、作り手としての最終的な憧れを熱く語った。それを受けて、松村は「オリジナル作品は、より心がワクワクドキドキするんですよ。0から作り出したものって、すごく尊い気がする」と、アニメファンならではの視点で話した。松村からの感想に喜びの表情を見せたいしづか監督は、オリジナルを手掛ける際には吉松にリアクションを求めると言い、吉松も「僕お客さんなんで(笑)」と、会場の笑いを誘った。そして、今回脚本を読んだ時の感想として「ストレートにお客さんの胸を突き刺すような話を作ってくれたので、やりがいがあるなと思いました」と語った。

キャラクターの話になり、「ドン・グリーズ」のロウマ、トト、ドロップの3人の中で、ドロップだけは雰囲気が全然違った、と裏側を明かしたいしづか監督に、吉松も「一番苦労した」と続けた。当初は3人とも18歳の「陰キャな」高校生の設定だったそうで、そこから「どんくさいシルエット」にするために、キャラクターの足をちょっと短くしたという。松村は一番印象に残ったキャラクターについて「ロウマの繊細な不器用さが愛おしい」と回答。いしづか監督は「嬉しいです!ロウマ票を初めていただきました」と言い、スタッフ間では特に女性にトトファンが多いと声を漏らした。すると松村は「私がロウマを独占します!」と言い、いしづか監督はアニメーターに最後のカットのロウマをイケメンにしてほしいとオーダーした際に、おでこに「イケメン」という文字が書いて返ってきたというと秘話を明かした。

完成していく中で、自身の想像を超えたシーンはあったかという質問に、吉松は「滝の音」を挙げ、「効果音がつくと、画の説得力が増す。」と答え、いしづか監督は「スクリーンで観たときの、花火とか滝とかの地響き感が格別ですよね。この作品は重低音っていうのに力を入れていて、スクリーンで観たときに『これこれ!』って思った」と加えた。

本作では[Alexandros]が主題歌を担当しているが、オリジナル楽曲の「Rock The World」の印象について「どストレートな日本語の歌詞で、ド直球なメッセージをまっすぐ歌ってくれるのが意外」だったといういしづか監督。「背中を押される、前向きな気分になれる。なおかつ、青春の映画だったんだなという印象を残してくれる。キャッチーで爽やかで疾走感があり、男らしさを忘れない、非常にこの作品に合う楽曲をいただいた」と感謝の気持ちを述べた。松村は「中高生の時って人間最強感があるじゃないですか。忘れていたものを取り戻した気持ちになりました!」と語った。

本作を制作して得た「宝物は?」という質問に、吉松は「良い作品に巡り合えたこと。いしづか監督に感謝」といい、いしづか監督は「このメッセージが宝物です」と返した。また、「お客さんに観てもらってその人の心に残る、この現象そのものが宝物」と観客に想いを伝えた。さらに個人的な宝物を聞かれると、いしづか監督は「学生時代の友達との関係」、吉松は「この作品を生み出せるこの右腕」、松村はお米が大好きということで「炊飯器」と答え、お米が大好きと話す松村らしい回答で会場を沸かせた。

最後に、いしづか監督は「一度で終わってほしくないっていう気持ちも込めて、気になる絶妙なポイントを残しているつもりなんです。この作品の中に『よりもい』エッセンスが実は隠されているです。ぜひ二度楽しんでいただければと思います」とアピール、松村は「色んな人に薦めたい作品」「私ともぜひ共有しましょう!」とメッセージを送った。

『グッバイ、ドン・グリーズ!』は2022年2月18日(金)より全国で公開!
監督・脚本:いしづかあつこ
声の出演:花江夏樹、梶裕貴、村瀬歩、花澤香菜/田村淳(ロンドンブーツ1号2号)、指原莉乃
配給:KADOKAWA
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