川和田恵真監督商業映画デビュー作『マイスモールランド』が第72回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に正式招待されることが決定し、併せて第二弾ポスタービジュアルが解禁された。
クルド人の家族とともに生まれた地を離れ、幼い頃から日本で育ち、同世代の日本人と変わらない、ごく普通の高校生活を送っていた17歳のサーリャは、あるきっかけで在留資格を失い、家族の日常が一変する――。本作では、そんな過酷な環境な中で主人公サーリャが、東京に住む日本人の少年・聡太との出会いをきっかけにアイデンティティに葛藤しながらも成長していく物語が描かれる。是枝裕和監督が率い、西川美和監督が所属する映像制作者集団「分福」の気鋭の新人監督・川和田恵真監督の商業映画デビュー作で、日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシアの5か国のマルチルーツを持つ主演の嵐莉菜が在日クルド人の高校生・サーリャを演じる。
今回、本作が出品されることが決定したジェネレーション部門は、歴史あるベルリン国際映画祭の中でも1978年から始まった子どもや青少年の人生と世界を探究する映画が紹介される部門。思春期の少女の揺れ動く感情と家族との葛藤などを描き、日本でも昨年スマッシュヒットを記録したキム・ボラ監督の『はちどり』(19)の受賞が記憶に新しい、例年フレッシュな作品が揃う注目の部門。
第72回ベルリン国際映画祭は、2月10日~20日[現地時間]に開催される予定で、このジェネレーション部門からもグランプリ作品が選ばれる。また本作は、企画段階で、2018年の釜山国際映画祭内にあり、映画の新企画やクリエイターを支援するイベント「ASIAN PROJECT MARKET(APM)」で、アルテ国際賞(ARTE International Prize)を受賞。難民2世という題材をベースに、世界に開かれた視点で、現代日本が抱える社会問題を切り取りながら、誰もが “自分ごと”として受け入れられる普遍的なドラマとして描かれる。
是枝監督『三度目の殺人』(17)で監督助手、西川監督『すばらしき世界』(21)でメイキングを担当するなど、多くの現場で研鑽を積み、本作で満を持しての商業映画デビューとなった川和田恵真監督は、今回の招待にあたって「歴史あるベルリン国際映画祭に『マイスモールランド』をご招待いただいたこと、大変光栄に思います。初監督にもかかわらず作品を信じ参加してくださったキャスト・スタッフの皆さん、そして、不安な状況に置かれながらも温かくご協力をしてくださった在日クルド人の皆さんに、この場を借りてお礼を申し上げます。映画と共に、込めた想いを届けてゆきます。」、本作で映画初出演&主演の大役を務めた嵐莉菜は「初めて本格的なお芝居に挑戦させて頂いたこの作品が、ベルリン国際映画祭で上映されることが決まり、本当に光栄です!私自身、ドイツにルーツがあるので、とてもご縁を感じ嬉しいです。大好きな国でこの作品がどのように評価されるのかすごく緊張しますが、それと同じくらいとても楽しみです!」、演技未経験で数百人の応募者の中から長澤まさみの息子役の周平役に抜擢された『MOTHER マザー』で、多数の新人俳優賞を受賞し注目を集める奥平大兼は「自分が携わった作品がこのような素晴らしい舞台に行けることがとても嬉しいですし役者としてすごく刺激になる出来事です。ベルリン国際映画祭をきっかけに『マイスモールランド』が世界中のたくさんの人に見てもらえるようになれば良いなと思います。」とそれぞれ喜びのコメントを寄せている。
併せて解禁された第二弾ポスタービジュアルは、添えられたキャッチコピー「ここに居たいと願うことは罪ですか?」とともに、サーリャが真っ直ぐに前を見据える表情を捉えたもの。彼女のささやかな願いさえ脅かす世界に対して、正面から向かって立ち向かっていく決意を示すようなビジュアルとなっている。
『マイスモールランド』は2022年5月に全国で公開!
監督・脚本:川和田恵真
出演:嵐莉菜、奥平大兼
配給:バンダイナムコアーツ
©2022「マイスモールランド」製作委員会