舞台『千と千尋の神隠し』が東京・帝国劇場で開幕、3月3日(水)に初日記念会見が行われた。
宮﨑駿監督の不朽の名作『千と千尋の神隠し』(2001)を世界初演の舞台化にあたり、翻案・演出を手掛けるのは、『レ・ミゼラブル』オリジナル版の潤色・演出を担い、『ナイツ・テイル-騎士物語』など演劇史に残る名作を生み出してきたジョン・ケアード。主演の千尋役には、今回が初舞台となる橋本環奈と、ドラマや舞台に加え声優や歌手としても活躍の場を広げる上白石萌音がWキャストで演じる。少女・千尋が引っ越し先に向かう途中、トンネルから八百万の神々の世界へ迷い込むところから始まる物語。人間の世界に戻るために様々な出会いを経て、生きる力を呼び醒ましながら奮闘する千尋の姿が見どころとなる。
今回行われた会見には、千尋役をWキャストで務める橋本環奈と上白石萌音、湯婆婆/銭婆役をWキャストで務める夏木マリと朴璐美、青蛙役のおばたのお兄さんがMCとして登壇した。
2月28日(月)と3月1日(火)にそれぞれプレビュー公演を行った上白石と橋本。そして、会見の前日2日(水)に初日公演に出演した橋本は「このお話をいただいたときから、幕が上がるときを楽しみにしていた」と明かし、「もっと成長して、いい舞台にしていけたらいいなと思っています」と語った。そんな橋本は、初日公演を終え、「足が痛い(笑)足がパンパンになるくらい走った」と明かしつつ「やり遂げることができてよかった」と無事に初日を終えられたことに喜びを見せた。
上白石は「さらにいいものをお届けできるように、カンパニー一丸となってがんばっています。初日を迎えられることをうれしく、ありがたく思っています」と観客への感謝の気持ちも口にしつつ、自身の初日公演を控え、「気もそぞろと言いますか…。7月までですのでがんばらないといけない」と気を引き締めた。
スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは本作を観劇し、「お世辞なしに本当におもしろかったです。とにかくジョンの演出とキャストの皆さんが素晴らしくて、原作へのリスペクトが感じられて嬉しかったです」と絶賛。この言葉を受け、「安心します。認められたというのがすごく嬉しい」と笑顔の橋本。上白石も「お稽古中に何度映画を見たか分かりませんし、フィルムコミックとか絵に励まされながら、お手本にしながらお稽古を進めてきた。本当にドキドキしていたので、ホッとしています」と安堵の表情を見せた。
MCを務めるおばたのお兄さんは「稽古で大変だったことは?」と質問をしつつも「先に言わせていただきます。全部です(笑)」と自ら答え、笑いを誘う場面も。本作が舞台初出演となる橋本は「千尋はステージをはけている時間がめちゃくちゃ短いんです」と言い、上白石も「はけても早替えで走ってる(笑)」と共感している様子。そんな中でも橋本は、千尋のキャラクターについて「ドジな一面(がある)。ケガをしない転び方を研究するのが難しかったです。実は千尋、身体能力めちゃくちゃ高い」と笑いを誘いながら難しさを語り、上白石は「運動量がハンパなくて。稽古場では常にマスクをしていて、高地トレーニングみたいな感じ」と舞台裏での苦労を明かした。
また、「食事はバッチリ」と体力を維持することの重要性を語った夏木。千尋役の上白石も「初めて通した日、痩せました。今いくら食べても太らない無双状態」と笑いを誘いつつも、演じる上での苦労を感じさせた。さらに、“健康を維持するためにしていること”を聞かれた橋本が「特にやってないけど健康です(笑)」と答えると、すかさず上白石からは「ストレッチだけはしてほしい!」と心配する声も寄せられた。
東京公演の後にも、7月まで公演が行われる本作に、橋本は「最後まで必死に千尋として生きて、走り抜けたいと思います。どんどん成長していけたらいいなと思っています」、上白石は「劇場にいらっしゃる3時間だけでも、いろんなことを忘れて楽しんでいただけるように、全員で走り抜けたいと思います」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
舞台『千と千尋の神隠し』は3月29日(火)まで帝国劇場で上演、4月に大阪・梅田芸術劇場メインホール、5月に福岡・博多座、6月に札幌・札幌文化芸術劇場 hitaru、6・7月に名古屋・御園座で上演!