『世の中にたえて桜のなかりせば』の公開記念舞台挨拶が4月2日(土)に丸の内TOEIで行われ、岩本蓮加(乃木坂46)、三宅伸行監督が登壇した。

本作のタイトルである「世の中にたえて桜のなかりせば」とは、桜にまつわる詩からの引用。“桜の季節”と“終活”をテーマに、岩本蓮加と宝田明の【70歳】の年の差コンビが描く心温まるヒューマンドラマが誕生した。W主演を務める岩本蓮加と宝田明が演じるのは、「終活屋」で働き、様々な境遇の人たちの終活を手伝う“終活アドバイザー”。余命幾ばくもない宝田の妻役を吉行和子が演じる。企画立案は宝田企画で、宝田明自らもエグゼクティブプロデューサーを務める。監督は、多くの映画祭で短編映画賞を受賞し、短編作品「サイレン」(2017)が国内外の映画祭で賞に輝くなど気鋭の若手・三宅伸行。主題歌「蒼空」は柔らかで温かみのあるハーモニーを奏でる2人組ボーカルデュオall at onceが担当し、プロデュースを亀田誠治が担当。

昨日より公開された本作に、「感想をいっぱい聞くようになった」という岩本は「嬉しい気持ちでいっぱい」と笑顔を見せ、初出演映画で初主演の本作には「不安な気持ちの方が大きくて」と振り返りつつも、「現場に入ってみて、たくさんお話をさせていただいて徐々にリラックスできて、現場に行くことが楽しくなった」と明かした岩本。

不安を払拭するためには「(脚本を)理解していく。自分のものにしたいという思いで、毎日台本を繰り返し読んでいました」と撮影に臨んだという岩本に、三宅監督は「リハーサルを何日もやらせてもらったんですけど贅沢な時間でした。岩本さんと話して(撮影に)入れたのでよかった」と語った。

また、宝田企画からオファーがあったことに「そんなお話が存在するのかなと思った(笑)」と照れ笑いを浮かべつつも「宝物になる、幸せだなと感じました」と喜びを見せた岩本。共演した宝田さんには「褒めていただくことが多かった」と照れ笑いを浮かべた岩本だが、先日行われた完成披露試写会で宝田さんから「大女優の片鱗がある」と絶賛されたことに「自信につながっているし、今後演技をするときは思い出して前を向いていきたい」と今後の役者として活かしていきたいという思いを語った。

撮影現場では「何気ない一言で緊張が解けてリラックスできた」と宝田さんの現場での佇まいに感銘を受けていた様子の岩本。70歳差という年齢差だった宝田さんと岩本は「孫のようだ」とかわいがられていたという岩本だが、三宅監督は「友達みたいにしゃべっていて、その雰囲気がよかった」と撮影現場の空気の良さをうかがわせた。

今後女優としては「この作品で学べたことがたくさんあるので、次に演技をできる機会があったら活かしていきたい」とさらなる活躍を期待させた。一方で、乃木坂46としてアイドル活動もしている岩本は「見てくださる方も『いつもの私と違う』とギャップを感じていただけたら」と語った。さらに先日高校を卒業した岩本は「活動の幅も広がっていくと思うので前向きに私なりにがんばっていきたい」と決意をあらたにした。

先日の完成披露試写会で宝田さんと会った時には「またきれいになったね」と声をかけられたという岩本。三宅監督は「『監督、食事行こう』なと言われたんです。なんでもない言葉なんですけど、垣根なく接する方。だからスターなのかな」と振り返った。

舞台挨拶の終盤では、撮影現場での宝田さんのインタビュー映像が上映され、「念願かなって撮ることができた。サポートして応援してくださった方々がいらっしゃる。感謝を申し上げたい」と周囲への感謝の気持ちを語るメッセージに、「映画に対しての熱が、愛が本当にすごいんだなとひしひしに感じる」という岩本は、改めて今回のW主演に「誇りに思える」と語った。

最後に岩本は「自分の人生と向き合うきっかけになれたらと思います。桜を見るたびに毎年この作品を思い出してくれれば嬉しい」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『世の中にたえて桜のなかりせば』は公開中!
監督:三宅伸行
出演:岩本蓮加(乃木坂46)、土居志央梨、郭智博、名村辰、柊瑠美、伊東由美子、徳井優、吉行和子、宝田明
配給:東映ビデオ
©2021『世の中にたえて桜のなかりせば』製作委員会