川和田恵真監督商業映画デビュー作『マイスモールランド』のメイキング写真が解禁された。

クルド人の家族とともに生まれた地を離れ、幼い頃から日本で育ち、同世代の日本人と変わらない、ごく普通の高校生活を送っていた17歳のサーリャは、あるきっかけで在留資格を失い、家族の日常が一変する――。本作では、そんな過酷な環境な中で主人公サーリャが、東京に住む日本人の少年・聡太との出会いをきっかけにアイデンティティに葛藤しながらも成長していく物語が描かれる。是枝裕和監督が率い、西川美和監督が所属する映像制作者集団「分福」の気鋭の新人監督・川和田恵真監督の商業映画デビュー作で、日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシアの5か国のマルチルーツを持つ主演の嵐莉菜がクルド人の高校生・サーリャを演じる。

今回、本日5月3日に18歳の誕生日を迎えた主演・嵐莉菜のメイキング写真7点が解禁された。本作が映画デビューである嵐の素顔、そしてシーンごとに変化する多様な表情を捉えている写真では、彼女が演じる主人公サーリャが普通の高校生として親友たちと過ごすシーンの撮影風景や、サーリャが心を開く少年・聡太を演じる奥平大兼とともにふざけ合うあどけない姿、そしてクルドの民族衣装をまとった結婚式のシーンのオフショットなど。そして、ほぼ出ずっぱりの長期に渡る撮影が終了し、川和田監督から花束を渡され、感極まって涙したクランクアップ時のオフショットなど、初主演という大きな役割を務めあげた、嵐莉菜のフレッシュな魅力が凝縮している。

「自分は何人だと思いますか?」本作のオーディション時、川和田監督はこの質問を嵐に投げかけたという。そのことについて嵐は「自分のことを日本人だと言っていいのか分からないけれど、私は日本人って答えたい。でも、まわりの人はそう思ってくれない」と、彼女がこれまでに感じてきた葛藤をはっきりと打ち明けたことが、キャスティングの決め手のひとつとなったという。「この気持ちを理解できる彼女なら、この複雑な環境にいる主人公を任せることができると思いました。そのとき見せてくれたナチュラルな演技もすばらしく、オーディションのときから、サーリャ役を生きてくれていたという感覚でした」とその起用の理由を語った。

嵐自身も本作への出演が決まった際には「すごく嬉しかったです。私も幼少期には、外見のことで悩んでいたので、この映画の話を聞いたときに、サーリャの気持ちが理解できるんじゃないかなと感じたんです。自然と『この役を演じたい』という強い気持ちでオーディションを受けました」と当時を振り返り、クルド人の高校生を演じるために「監督と一緒に、実際に日本で暮らしているクルド人の家族にお会いしました。同世代の女の子といろいろな話をし、仲良くなって。その女の子が『ふつうの人になりたいけど、なれない』と言っていたのが、忘れられません」「とても苦しい境遇にいながら、明るく接してくれたのが嬉しかったですし、絶対に幸せになってほしいなと心から思いました。まさにサーリャもそうですよね。すごく苦労して、いろんな壁に当たるけれど、希望を失わず、前に進んでいく姿に胸をうたれました」と、監督やスタッフとともに悩みながらも丁寧に進めてきた役作りの経緯を明かしている。

『マイスモールランド』は2022年5月6日(金)より新宿ピカデリーほか全国で公開!
監督・脚本:川和田恵真
出演:嵐莉菜、奥平大兼、平泉成、藤井隆、池脇千鶴、アラシ・カーフィザデー、リリ・カーフィザデー、リオン・カーフィザデー、韓英恵、サヘル・ローズ
配給:バンダイナムコアーツ
©2022「マイスモールランド」製作委員会