本屋大賞受賞の傑作ベストセラー小説を映画化した『流浪の月』の場面写真が解禁された。
実力と人気を兼ね備えた俳優・広瀬すずと松坂桃李の2人が紡ぐ物語は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうによる傑作小説が原作。10歳のときに誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗を広瀬が、その事件の“加害者”とされた当時19歳の青年・佐伯文を松坂が演じる。いつまでも消えない“被害女児”と“加害者”という烙印を背負い、息を潜めるように生きてきた2人。誰にも打ち明けられない秘密をそれぞれに抱えたまま、15年後に再会した2人が選んだ道とは―。監督を務めるのは李相日。
今回解禁された場面写真では、広瀬すず演じる“誘拐事件の元被害女児”・更紗の現在の恋人・亮を演じる横浜流星を捉えている。更紗の横で微笑む幸せそうな表情、そしてそれとは対照的に病みやつれた表情の2枚から、亮と更紗の関係がどう変化していくのか、想像が膨らんでくる。
2022年だけでも、日曜劇場「DCU」(TBS系)やNetflix製作のドラマシリーズ「新聞記者」、映画『嘘喰い』と出演作が連続して公開され、下半期も池井戸潤原作の『アキラとあきら』(三木敬浩監督)、『線は、僕を描く』(小泉徳宏監督)と主演映画が続々と公開予定の横浜だが、本作で更紗の恋人である亮役を演じることがアナウンスされると、その情報は驚きを持って受け止められた。亮は、“誘拐事件の元被害女児”という特殊な過去を抱える更紗を、守ろうとするがゆえにきつく束縛し、やがてその強すぎる愛情が支配、そして暴力へと変わっていく激しさと脆さをあわせ持つ強烈なキャラクターであり、これまでの横浜の硬派で正統、そして紳士的なパブリックイメージを覆す役どころであったからだ。
また、横浜は原作が本屋大賞を受賞する前から「流浪の月」のファンだと公言しており、映画化権を李相日監督が取得したという噂を聞きつけると、なんとしてでもその世界観の一部になりたいと行動を起こし、直接李に会って、未決定だった亮役のオファーを受けたという。横浜はオファーを受けて改めて原作を読み返し「亮目線で読むとまた違う見方ができた」と振り返る。「文目線で読んでいた時は『この男、なんなんだよ』と思っていましたが、亮目線で読むと亮にも悲しい過去があり、だからこそ更紗を精一杯に愛して守り抜きたいと思っている、共感できる人間らしい部分がありました」と、単純に善悪では断罪できない生身の人間臭さを備えた横浜自身の亮というキャラクターを受け止め、最後には「僕自身が誰よりも亮を愛した」と語る。
ところが、自身を“人見知り”だという広瀬と“甘えることが苦手”だという横浜の初共演、しかも結婚を目前にした恋人どうしという設定には、準備段階から高いハードルがあったという。クランクイン前のリハーサルで、いつまでも打ち解けない二人を見て、「李監督から『形は出来ているけど中身が見えない。まずは広瀬すずと横浜流星として二人の距離感を縮めた方がいいんじゃないか』という指摘があり、二人きりで話し合う時間を持ちました。クランクイン直前にロケ地の松本で二人で街巡りをして、蕎麦を食べたりゲームセンターに行ったりと、普通の人どうしが過ごすような日常を体験し、自然と亮と更紗になっていけたような気がします」と驚きの役作りの裏側を披露。
さらに前半から後半にかけて感情も風貌も驚くほどに変化していく亮の撮影が、可能な限り劇中の時系列通りに撮影を進めていく“順撮り”(予算やスケジュールの都合でなかなか成立が難しいとされる)で行われたとも明かし、「順撮りで撮影したことで役の感情が作りやすく、贅沢な現場だと思いました。監督は役者を第一に考えてくれる人だと感じました。すごく幸せな環境の中でお芝居ができて感謝しています」と李組での撮影を振り返った。
数多の現場経験を糧に急成長を遂げる横浜が、役作りへのの環境づくりの努力を惜しまない李組でいかなる新境地を切り拓き、花開かせたのか。横浜の魂の亮に期待が高まる。
『流浪の月』は2022年5月13日(金)より全国で公開!
脚本・監督:李相日
出演:広瀬すず、松坂桃李/横浜流星、多部未華子/趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子/柄本明
配給:ギャガ
©2022「流浪の月」製作委員会