『流浪の月』の初日舞台挨拶が5月13日(金)にTOHOシネマズ日比谷で行われ、広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、内田也哉子、李相日が登壇した。
実力と人気を兼ね備えた俳優・広瀬すずと松坂桃李の2人が紡ぐ物語は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうによる傑作小説が原作。10歳のときに誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗を広瀬が、その事件の“加害者”とされた当時19歳の青年・佐伯文を松坂が演じる。いつまでも消えない“被害女児”と“加害者”という烙印を背負い、息を潜めるように生きてきた2人。誰にも打ち明けられない秘密をそれぞれに抱えたまま、15年後に再会した2人が選んだ道とは―。監督を務めるのは李相日。
公開初日を迎えて「作っているときはどう伝わるのか、見えているよりも、更紗として生きることに必死だった。最近はドキドキと楽しみと、ちょっとした緊張感を感じます」と今の気持ちを吐露した広瀬。松坂は「役との向き合い、作品との向き合いと、時間をかけてこういうアプローチすることを初めてやらせていただいた。ここまでやれるのかという、でも終わりがない。ここまでやっても終わりがない感じを初めて体験した」と振り返り、「この仕事を続けていくためにとっても大切なものを教えてもらった」と感慨深げに語った。
本作を演じる上で「(観客は)更紗、文の目線で見るので、(自身が演じる)亮は嫌な奴に見えるかもしれない。自分が亮の一番の理解者で、亮を愛して生きていこうと思っていました。考えたことはそれだけで、あとは更紗をまっすぐに愛すること」と振り返った横浜は「役作りにも贅沢な時間を設けていただいて感謝しています。幸せな現場だった」と振り返り、また「この作品以降、より作品や役への向き合い方は強くなりました」と明かした。
撮影中に誕生日を迎えた横浜はバースデーサプライズを仕掛けられたといい「文と更紗が大事なシーンを撮っていて、“急遽ワンシーン追加する”と言われて、嬉しいなと思って現場に行って」という横浜だが、“2人に向かえってゴミ箱を投げろ”と言われた横浜は「結構攻めるな…」と思いつつ、シーンの追加に喜んだものの、そこにプレゼントが入っていたと明かした。その時の心境を「嬉しいけど、ワンシーン追加はないんだというちょっと残念な気持ち(笑)でもうれしいですよ、もちろん!」と複雑な心境を明かした。その現場を目の当たりにして、松坂は「激昂の流れの中で開けたらプレゼントが入っている。怒りから喜びにいくところのストロークがすさまじかった(笑)戸惑いの後に喜び(笑)」と現場を振り返り、また広瀬も「笑いをこらえることに必死。すごい体勢で、ゴミ箱を見て『え?』って聞いたことのないような音を出されてて」と言う。そんな横浜はバカラのグラスをもらったといい、「それにお酒入れて飲んでます」と笑顔を見せた。
また、イベントには増田が登壇。その増田とはNHK連続テレビ小説『なつぞら』で母子役で共演した広瀬は「勝手にお母さんの気持ちが離れず、感動して泣きそうになりました」と振り返り、「幸せです」と笑顔を見せた。松坂は「素晴らしかったです。3人でいるシーンがあるんですけど、そこで流れている時間が、もう一つの幸せがずっと流れていたので、幸せをありがとうという気持ちです」と笑顔を見せた。
最後に松坂は「いろんな理由だったり、人には言えないことだったり、抱えていることを持ちながら生きている登場人物しかいないです。そんな人たちの息遣いや、生きている姿を、『流浪の月』を通して見ていただくと何買えるものがあるのではないか、みなさんにも通ずるものがあるのではないかと思います」、広瀬は「きっといろんな人に、いろんな目で感じていただける作品だと思います。美しくて強くてたくましい2人を見届けていただけたらと思います」と本作をアピールした。
【写真・文/編集部】
『流浪の月』は全国で公開中!
脚本・監督:李相日
出演:広瀬すず、松坂桃李/横浜流星、多部未華子/趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子/柄本明
配給:ギャガ
©2022「流浪の月」製作委員会