© Kazuko WAKAYAMA


『エルヴィス』が第75回カンヌ国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門に出品され、5月25日[現地時間]にワールドプレミア上映された。

世界史上最も売れたソロアーティスト、エルヴィス・プレスリー。エルヴィスの<誰も知らなかった>真実の物語をバズ・ラーマン監督が映画化。ほぼ全編にわたり、吹き替えなしでエルヴィスになりきって歌唱とダンスを行うという難役エルヴィスに大抜擢されたのはオースティン・バトラー。バズ・ラーマン監督に「エルヴィスそのもの」と言わしめる、圧倒的な歌唱力、そしてなにげない動作までもまるでエルヴィスのようなパフォーマンスを披露。エルヴィスの才能をいち早く見つけ、生涯にわたりエルヴィスのマネージャーを務めた悪名高いトム・パーカー役をトム・ハンクスが演じる。数々の逆境を打ち破り世界を変えていくエルヴィスの生き様が、多くの伝説的なライブとともに描かれる。圧倒的なライブパフォーマンスで、誰もが知る名曲を、そして熱狂を体感できる。

ワールドプレミアとして世界で初お披露目となった。そして主演のオースティン・バトラー、トム・ハンクス、バズ・ラーマン監督等が参加するレッドカーペット・セレモニーと記者会見が華々しく執り行われた。

会場前に敷かれたレッドカーペットの周りには、伝説のスーパースターを体当たりで演じた注目の俳優オースティン・バトラーの姿を捉えようと、世界中のマスコミで溢れかえり、大きな盛り上がりを見せた。黒のタキシード姿のオースティン・バトラーと黒スーツ姿のトム・ハンクス、そして妻のキャサリン・マーティンがデザインしたというダイヤモンドとルビーがあしらわれた「ELVIS」と刻まれた煌びやかなベルトを装着した姿のバズ・ラーマン監督、エルヴィス・プレスリーの元妻リサ・プレスリー等が登場すると、会場からは大きな歓声が沸き起こった。

注目は何といってもオースティンのパフォーマンス。約3年かけて徹底的にエルヴィスの研究を重ねたオースティンが挑んだ、ほぼ全編吹替え無しのライブシーンは圧倒的で、会場は絶賛の声で溢れた。さらにエルヴィスをスターダムに押し上げながらも、彼の全てをコントロールしようとした悪名高いマネージャーのトム・パーカーを演じたトム・ハンクスの迫真の演技、そして音楽で世界を変えた男の真実を、絢爛豪華なビジュアルと圧巻のライブシーンでまとめ上げたバズの手腕にも高い評価が集まった。公式上映後は本年度のカンヌ国際映画祭では最長となる12分間のスタンディングオベーションが起こり、バズ監督とオースティンは、目にうっすらと涙を浮かべ、感無量の様子をみせた。鳴りやまない拍手に包まれたオースティンは、まるでエルヴィス・プレスリーが空から見守っているとでも言うように上を指差し、感動した面持ちで宙を見上げた。

上映後のアフターパーティーでは、300機の光るドローンが飛ばされ、エルヴィス・プレスリーを象徴する“TBC”のマークやエルヴィスのシルエットが夜空に描かれ、「こんな演出はカンヌ史上初!」と司会者を驚かせるほどのド派手な演出がなされ、会場を盛り上げた。翌日26日(日本時間26日夜)に行われた記者会見では、バズ監督とオースティン、トム・ハンクス、エルヴィスの妻プリシラ役のオリヴィア・デヨング、エルヴィスと同じくロックの創始者の一人であり、アメリカのシンガーソングライターであるリトル・リチャード役のアルトン・メイソンらが出席。

華やかな映像と音楽に包まれたエンタテインメント大作を得意とするバズ監督は、ブラック・ミュージックの影響を受けながら、スーパースターとして熱狂的な人気を博した一方で、そのセンセーショナルさから社会の中傷の的となったエルヴィスの半生を、多くの“神曲”とともに描いた。強欲なプロデューサー、トム・パーカーとの知られざる裏側にあった逆境を型破りに打ち破っていく中で、若くして謎の死を遂げたエルヴィスの生涯を描く本作についてバズ監督は、本作のためにリサーチ班を作り、実際にプレスリーがブラック・ミュージックに浸ったメンフィスに滞在したことで、プレスリーのこと、さらにミュージシャンとしての彼をより理解することができたと語った。

「彼は若いときからブラック・ミュージックに親しみ、B・B・キングとの交流も有名だった。ブルース、ソウル、ゴスペルなどさまざまな音楽に浸り、そこからインスピレーションを得て、自分なりの音楽を作り上げた。彼はよく『俺はキング・オブ・ロックンロールじゃない、それに浸って発散しただけだ』と語っていたが、僕は彼こそキングだったと思う。そしてとてもスピリチュアルな人だった。そのパフォーマンスはパンクロッカーの元祖と言えると思う」と語った。

オースティンは役作りについて尋ねられると「3年間彼に浸り続けた。何度も何度もクリップを見直し、彼の動き、その声、眼差しなどを研究した。そうやって浸り続けたおかげで、鏡を見て、自分でもなんだかプレスリーみたいだと思えるようになった(笑)でも僕にとって大事だったのは、彼のソウルがにじみ出るようにすることだった。3年間、彼のレガシーに浸り、素晴らしい人物の人生を生きたことは、本当に心を動かされた経験だった」と語った。

一方、「悪役」とされるマネージャーに扮したトム・ハンクスは「僕はプロだからね。お金をもらえればどんな人物にもどんな服装にもなるよ(笑)(自分が演じた)トム・パーカーのことはよく知らなかった。この役を演じることになって、どんな人物だったか知って驚いた。彼は強欲だったけれど、プレスリーを最初に見出してスターにした人物だ。もっともプレスリーの音楽に感銘したというより、観客の反応に衝撃を受けたんだけど。プレスリーの音楽的な功績を世に残したという点だけは認められるだろう」とコメントした。

『エルヴィス』は2022年7月1日(金)より公開!
監督:バズ・ラーマン
出演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス、オリヴィア・デヨング
配給:ワーナー・ブラザース映画
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AUSTIN BUTLER as Elvis in Warner Bros. Pictures’ drama “ELVIS,” a Warner Bros. Pictures release.
Photo by Hugh Stewart
(L-r) AUSTIN BUTLER as Elvis and TOM HANKS as Col. Tom Parker in Warner Bros. Pictures’ drama “ELVIS,” a Warner Bros. Pictures release.
Photo by Hugh Stewart