『神は見返りを求める』の完成披露試写会が6月1日(水)に都内で行われ、ムロツヨシ、岸井ゆきの、若葉竜也、吉村界人、栁俊太郎、吉田恵輔監督が登壇した。

『ヒメアノ~ル』『空白』と人間ドラマからコメディ、バイオレンスまで作品ごとに観客の心をざわつかせてきた吉田恵輔監督が最新作に選んだ題材はYouTuber。加速する時代で、“YouTuber”という職業を通して、今という時代を象徴的かつポップに描く一方、“欲”や“本音と建て前”、“嫉妬”といった人が誰しも持つ醜さや葛藤をも鮮烈に描く。主人公でイベント会社に勤める田母神(尚樹)は、合コンでYouTuber・ゆりちゃん(川合優里)に出会う。田母神は、再生回数に悩む彼女を不憫に思い、まるで「神」かの様に見返りを求めず、ゆりちゃんのYouTubeチャンネルを手伝うようになる。2人は人気がでないながらも、力を合わせて前向きに頑張り、お互い良きパートナーになっていくが…あることをきっかけに、2人の関係が豹変する―。

MCの呼び込みで登壇したキャスト・監督だが、ステージの中央に花道があったことから急遽“ウォーキング”しながら挨拶したムロ。さらにそのムロからの「次からの人が楽しみ」というフリに、続く岸井は照れ笑いを浮かべながらも「すごい!なんかいい気分からもしれない(笑)」と満面の笑みでウォーキングを披露。MCから「時間の関係で…」と話が入ると、ほかのキャストは早歩きで花道を歩き、会場は大きな拍手に包まれた。

「ムロシズカになってました。今回は受け身の役だったり、変わっていってしまうというところで」と撮影中は普段とは違う佇まいだったというムロは「いつものムロはいらないとジャッジした」とコメント。「役者っぽいことやったことがないんだけど、役柄によって距離を置くとかエピソードとしてはかっこいいけど、照れくさくてできなかった。今回は吉田監督が書いてくれた脚本の世界にどっぷり使ってみようと思いまして」と明かした。

本作ではYouTuber役の岸井だが「その瞬間の優里ちゃんの気持ち、田母神さんの気持ちに嘘はない」と役作りしていったというが、ムロの印象については「ムロシズカだったので。最初はもっと楽しい感じなのかと思ったけど、“主演の方?”というくらい端っこにいて、深いキャンプ用のイスに座ってた」と明かした。そんなムロも撮影の終盤になると「もう飽き飽きしてた(笑)」と、賑やかな面を出すこともあったという。

過去に二人芝居で共演したムロと若葉だが、ムロは若葉について「悪意なき嘘をつける役をこうも体現できる役者がいるんだなという感動。(若葉の)さくらんぼ柄と(ムロの)水玉で吉田監督作品の完成披露試写に立てる、人生って何が起こるか分からない」と笑いを誘った。

また、“オン状態でいること”を意識したという吉村は「冷静にならずに常にオンでいようと。毎秒を楽しむような」と役作りをしたといい、ムロは「来た時からオン状態だから」とイメージと違ったことを明かした。また、吉田監督作品への出演が念願だったという栁だが「ユーモアあふれる現場で楽しくて幸せでした」と笑顔で振り返った。YouTuberを題材に熱かった本作だが、2年前に撮影されたということで「どうなっていくんだろうと思いながら見てた」というムロ。吉田監督は「おれが怖い(笑)」とタイムリーな作品になったことを明かした。

作品の内容にちなんで、“豹変したこと”を聞かれると、「ムロさんの豹変はたくさん見てきた」という若葉は「こんなに賑やかに明るくやってますけど、本当はもっと怖いです。もっとお芝居に情熱的で、汗を振り乱しながら、目を血走らせて舞台に立ってるムロさんは今よりはるかにかっこいいので、機会があったら見に行ってください」とムロと若葉。

【写真・文/編集部】

『神は見返りを求める』は2022年6月24日(金)よりTOHOシネマズ日比谷、シネクイントほかで公開!
監督・脚本:吉田恵輔
出演:ムロツヨシ、岸井ゆきの、若葉竜也、吉村界人、淡梨、栁俊太郎、田村健太郎、中山求一郎、廣瀬祐樹、下川恭平、前原滉
配給:パルコ
※吉田恵輔監督の「吉」は、「士」の部分が「土」が正式表記
©2022「神は見返りを求める」製作委員会