芥川賞受賞作家・今村夏子のデビュー作を映画化した『こちらあみ子』の井浦新が撮影した写真が解禁された。

主人公は、広島に暮らす小学5年生のあみ子。少し風変わりだが純粋なあみ子の行動が、家族や同級生など周囲の人たちを否応なく変えていく過程を、少女の無垢な視線で鮮やかに描き出す。原作は「むらさきのスカートの女」で第161回芥川賞を受賞した今村夏子が、2010年に発表した処女作「あたらしい娘」(のちに「こちらあみ子」に改題)。主人公のあみ子を演じるのはオーディションから見いだされた新星・大沢一菜。父親役には井浦新。母親役には尾野真千子。監督は本作がデビュー作となる森井勇佑。

今回、井浦新が現場で撮影したスチール、オフショット10点が解禁された。俳優のみならず、個展を開催するなど写真家としての顔も持つ井浦。本作の撮影中、スケジュールの都合でカメラマンが来られなかった数日間、スチールカメラマンとして自身のカメラで現場での撮影を敢行。また、これらの井浦が撮影したスチールは、東京・池袋のジュンク堂書店で7月3日から、広島のエディオン蔦屋家電で7月5日から開催のパネル展にてそれぞれ掲出される。

井浦新

また、今泉力哉、尾崎世界観、清川あさみ、國松絵梨、駒井蓮、長井短、奈良美智、冬野梅子、山本奈衣瑠ら各界著名人からのコメントが到着した。

今泉力哉(映画監督)

あみ子は何も悪くないのにな。
とある秘密にまつわるシーン、虫や生き物との戯れ、ちょっとやそっとではなかなか撮れない時間や空気をたくさん取り込んだ愉快で寂しい映画でした。応答せよ!応答せよ!

尾崎世界観(ミュージシャン)

光みたいなあみ子に向ける自分のまなざしの汚れが酷く気になった。 ただただ良いと思う映画と、良いけれど観ていて無性に悔しくなる映画がある。この作品は完全に後者だ。

清川あさみ(アーティスト)

誰にも分からない、あみ子だけの世界がある。"現実"という、冷たい水の水面を真っ直ぐ切り開いて力強く突き進む彼女にも優しい光があたるそんな世の中でありますように。

國松絵梨(詩人)

知りたくて、わかりたくて投げかけた問いに対して、みんなが静かに黙ってしまうのが何故なのか、わからないままでいた。何で忘れてしまっていたんだろう。よく見える、よく聞こえる、確かにそうだった時がある。もう何もかもがわかるようになってしまった私たちに、あの頃と同じ強さの光が降っていること、同じくらいたくさんの音が鳴っていることを、もう一度、思い出させてくれる。

駒井蓮(俳優)

私たちが何処かに置いてきてしまった世界の手触りを、あみ子は全身で掴んでぐしゃぐしゃにしてポイッと投げて、心の向く方へ叫び、好きなように戯れる。
そんなあみ子の姿が、日常で得ようとする共感やズレることへの恐ろしさこそ、見たいものを見えなくしてしまっているのだと言っているようで、胸がずきずきした。
目の前のでこぼこ、お兄ちゃんのハゲ、机の脚の冷たい触感、お母さんの黒子。世界が世界のまま、自分の心に届けばいいと、願う。

長井短(俳優)

「こちらあみ子」を読んだ日から、私の中にはあみ子がいて、きつい眼差しで私を観察し続けている。その眼差しが本当にそのまま画面に写っていて、頭の中がまんま再現されてるはずなのに、いざ相対しても結局あみ子のことは全然わからないまま。それがとにかく嬉しかった。ねぇあみ子、頼むよあみ子と思うけれど、頼まれてくれないところがむしろ頼もしくって、きっと私は、あみ子に憧れているのだ。どこに?って、そりゃ、わたしだけのひみつじゃ。

奈良美智(美術家)

あみ子を、子供たちを、僕は確かに知っていた。映画が終わり、闇の中から歌声が流れ始める時、子供たちの顔が浮かんでは歌の波間に消えていく。そして、大きな世界はゆっくりと開かれていくのだ、彼らのために、かつての僕らのために。

冬野梅子(漫画家)

あみ子はうざい。でもあみ子をうざがることに罪悪感がある。だから遠ざけたくなる。さらに女の子だから、今後は清潔・朗らか・気配りも期待されるかもしれない。仮にそうした教育を徹底したら…社会に馴染めるかもしれないが、それは幸せなんだろうか。ずっと考えてしまう。

山本奈衣瑠(モデル・俳優)

あみ子、あみ子。 あみ子と友達だったら 一緒にインド人するし、 側転のやり方教えてもらう。 大好きで何度も原作を読んでいたけど あの本の中のあみ子がちゃんとスクリーンの中にいた。 会えた事がとても嬉しかった。 あみ子のことを好きと思うことは自分の中のあみ子を肯定したいからかもしれないけど。あみ子。


『こちらあみ子』は2022年7月8日(金)より新宿武蔵野館ほか全国で順次公開!
監督・脚本:森井勇佑
出演:大沢一菜、井浦新、尾野真千子