『破戒』の初日舞台挨拶が7月8日(金)に丸の内TOEIで行われ、間宮祥太朗、石井杏奈、矢本悠馬、前田和男監督が登壇した。
名だたる巨匠が映画化してきた島崎藤村による不朽の名作「破戒」が、60年の時を経て再び映画化。主人公・丑松を気迫溢れる様子で演じ上げたのは間宮祥太朗。自らの出自に苦悩し、そして最後にはある告白をする難役に気迫の演技で挑み、観る者を惹きつける。相手役・志保を演じるのは石井杏奈。丑松に恋心を寄せつつも、なかなか思いを告げられない控えめな女性を演じる。悩める丑松を支える親友・銀之助役には矢本悠馬。さらに眞島秀和、高橋和也、竹中直人、本田博太郎、田中要次、石橋蓮司、大東駿介、小林綾子らが共演する。脚本は加藤正人と木田紀生が担当。監督は前田和男。
昨年8月の撮影から1年が経ち、「とても大事な役であり、抱えているものから来る重圧も感じていたんですけど、インタビューなどでも言っている通り、“シンプルにいい映画だな”と、自分の出演作品に対して思える喜びを教えてくれた作品」と本作を振り返った間宮。
そんな間宮については、プロモーションの期間を通して「いろいろな思いを背負ってここに立っているんだなとか、たくさん考えて演じていたんだなと知ることができて、私も『破戒』への愛がもっと深まりました」と主演としての間宮への思いを語った石井だが、プライベートでも親交が深い間宮と矢本の関係性については「お二人の見えないけど見えてる絆がグッときて。全体的に響きました」と語った。
100年以上前に書かれた原作の映画化ということで「所作は大変でした。丁寧にやらなくてはいけなくて、ずっと正座していたり、正座から立つ時につま先立ちで立たなければいけなくて、次の日、筋肉痛になっていました」と振り返った石井。矢本は慣れない言葉遣いに不安も感じたというが、撮影が始まると「台本のセリフを変えるじゃなくて、そのままやったほうが作品にもフィットしていくのかなと思って。アドリブが多い俳優ですけど、今回は真面目にやりました」と明かした。
撮影では「雨で7回延期になった」というシーンがあったという前田監督だが、「いつ来てもいい心持でいなければいけなかった」という間宮、矢本は東京での仕事と京都での撮影の行き来も多かったようで、京都に行っても撮影ができなかったり、「雨が上がった瞬間だけ撮る」という苦労もあったという。
前日が七夕だったことにちなんで、願い事を聞かれると「もちろん『破戒』がうまくいくというのが大前提ですけど、昨日娘が幼稚園で先生に書いてもらった短冊なんですけど、『キン肉マンに会いたい』と書かれていて。父親としては筋肉トレーニングを極めてキン肉マンになってやろうと。キン肉マンに会わせてあげたいと思います(笑)」と笑いを誘った。石井は「旅行に行きたい。沖縄に行きたいです。キャンプしたりとか」と想像を膨らませた。「上映館が増えることですかね。地方の方々に“うちの県ではやらないんです”とか“上映館数増えて欲しいんです”ということが自分のSNSにも入ってきていて」という間宮は「見てくださった方々の熱が帯びた後押しが力強く持っている世の中だと思う。上映館、増えるといいな」と願いを語った。
最後に矢本は「この映画は見終わった後、経験値としてこの後の人生に残るものだと思っていて。自分自身が人に対して、想像力を養える映画になったと信じています」、石井は「初めて見た時に勇気をいただいたし、前に進みたいと思えた作品です。見る前よりも強く前に踏み出せる、前向きになれる映画です」、間宮は「この映画を見た時に自分の過去・現在と周りにいる人たちと未来に対してみなさんが何を思うかと言うのは来てくださった人々の数だけあると思う。何かきっかけになればと思っています」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『破戒』は全国で公開中!
監督:前田和男
出演:間宮祥太朗、石井杏奈、矢本悠馬、高橋和也、小林綾子、七瀬公、ウーイェイよしたか(スマイル)、大東駿介、竹中直人/本田博太郎/田中要次、石橋蓮司、眞島秀和
配給:東映ビデオ
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