SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022の国内コンペティション長編部門上映作品『揺れるとき』のQ&Aが7月18日(月・祝)にSKIPシティ(埼玉県川口市)で行われ、サミュエル・セイス監督、キャロリーヌ・ボンマルシャン プロデューサーが登壇した。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、“若手映像クリエイターの登竜門”として、映画界の未来を担う新たな才能の発掘を目的に2004年より毎年開催されてきた。第19回となる今回は、2019年以来となるスクリーン上映が行われるほか、昨年と一昨年に引き続き、オンライン配信も合わせて行われる。会期はスクリーン上映が7月16日(土)~24日(日)、オンライン配信が7月21日(木)~27日(水)に開催される。

10歳のジョニーは東フランスの貧しい地域で、シングルマザーの母と2人の兄妹と共に暮らしていた。敏感で賢い彼は様々な物事に関心を持つが、ある日、都会から赴任してきた新任教師に心惹かれてゆく。

カンヌ映画祭批評家週間でプレミア上映された本作。「日本に来ることができて本当にうれしい」と挨拶したサミュエル・セイス監督。キャロリーヌ プロデューサーは、カンヌ映画祭で上映された際に、セールスエージェントに対して「ひとつ行きたい国があるとすれば日本と言っていたので夢がかなった」と本映画祭での上映を喜んだ。

本作については「10歳くらいの時代を描きたいと思いました。非常に夢があって、同時にシリアスな世代でもある。自分も10歳ごろにある日、自分の人生はこの家族とはない、この地域にはないと思ったんです。どこで何をするかをはっきりとは思い浮かんではいませんでしたが」と本作を制作するきっかけを語ったサミュエル監督。

続けて、本作について「自分が今いる階層からステップアップすることを描きたかった」と言い、主人公の少年が、ある出会いをきっかけに「自分にはほかの人生を歩めるのではないかと思いつく」という物語に、「“欲求や欲望は何か”を探求して説明することがこの映画の目的でもあります」と語った。

東フランスの貧しい地域で暮らす主人公を10歳という設定にしたことについて、サミュエル監督は「自伝的な部分も含まれていて、自分の体験に忠実でありたいと思った。10歳の人生はどういうものかと考えた時に、いろいろなことが起きるんです。10歳はまだ自由だと思う。純粋に自分を出せる年齢だと思います」と理由を明かした。

その主人公の少年ジョニーを演じたアリオシャ・ライナートについては「アリオシャがいなければこの映画はできなかった。彼は若いけれど精神的に大人びている。性の目覚めも感じている子でした。私は彼に透明性をもって説明しました。この役をやりたい子がいいと思っていましたし、親も同意してくれる人がいいということでキャスティングには長い時間をかけました」といい、実際にアリオシャをキャスティングした理由は「アドリブができるということ。彼自身が演技をしたいと思っていること。自由な子を探していました。天使のようでありつつ中性的で、見た目と内面が違うというところもこの映画に適していると思いました」と説明。演出についても「彼はエレガントに体を使って演技ができる子」とアリオシャとの出会いが大きかったことをうかがわせた。

また、本作では多くのキャストがアマチュアだといい、「あの地域の人たちを使うことが重要でした。セリフひとつひとつを覚えなくていいと言い、私が現場でストーリーを伝えてアドリブで演技をしていただきました。“こういうシーンだよ”と言って、何を言うかは彼らに委ねました。アクシデントが起きるかもしれませんが、その場にいる気持ちで演技をしてもらいました」と撮影の仕方を明かした。

なお、本作は7月21日(木)14:20より映像ホールで上映、]7月21日(木)~7月27日(水)に本映画祭でオンライン配信される。

【写真・文/編集部】

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022は[スクリーン上映]2022年7月16日(土)~7月24日(日)にSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ホール、多目的ホール(埼玉県川口市)、メディアセブン(埼玉県川口市)ほかで開催、[オンライン配信]7月21日(木)~7月27日(水)に配信!
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