『峠 最後のサムライ』の公開後舞台挨拶が7月18日(月・祝)に新宿ピカデリーで行われ、役所広司、永山絢斗、坂東龍汰、小泉堯史監督が登壇した。
歴史小説界の巨星・司馬遼太郎が、幕末の風雲児と呼ばれた越後長岡藩家老・河井継之助を描いた国民的ベストセラー「峠」を映像化。“最後のサムライ”河井継之助を役所広司、さらに松たか子、香川京子、田中泯、永山絢斗、芳根京子、坂東龍汰、榎木孝明、渡辺大、東出昌大、佐々木蔵之介、井川比佐志、山本學、吉岡秀隆、仲代達矢ら豪華俳優陣が集結。一介の藩士でありながら、諸国への遊学を経て培った先見性とグローバルな視野をもとに、領民のための斬新な藩政改革を次々に実行していた継之助。しかし、時流は倒幕へと傾き、サムライとしての使命と庶民を先導するリーダーとしての狭間で葛藤しながらも、継之助はやがて強大な武力を誇る明治新政府軍に立ち向かっていく―。監督・脚本は、黒澤明監督の助監督として数々の名作に携わった小泉堯史。
舞台挨拶には、主演で河井継之助を演じる役所広司、継之助に従える従僕・松蔵役の永山絢斗、継之助の盟友である小山良運の息子・正太郎役の坂東龍汰、監督の小泉堯史が登壇した。
役所は「絢斗くんも坂東くんも、台本で読んでいた松蔵や正太郎にピッタリの俳優さんがいるなと撮影中ずっと思っていました」と2人の演技を称賛した役所だが、永山に対して「『セリフがなくていいな』と言ったら『セリフがないのもつらいんです』って言ってました(笑)」と冗談を交え、笑いを誘った。
その永山は、役所について「尊敬する役者さん」と共演を喜び、撮影時には「松蔵さんのお墓参りに行こうとお花を買いに行ったら、役所さんとばったり会いまして」と偶然の遭遇があったことを明かし、これに役所は「僕はたぶん酒のつまみか何かを(買いに行っていた)(笑)」と笑いながら返した。
また、坂東は撮影時にデビュー1年目で「とにかく緊張していました。時代劇も初めてだし、偉大な先輩方の前でお芝居ができるのは光栄なこと」と振り返りつつ、「河合継之助さんの目を見た時に、その瞳に吸い込まれてしまいそうな感覚になりました。すごく魅力的な瞳の奥が輝いている」と役所の印象を語った。永山とは本作での撮影後も共演しているという坂東は「本当に優しくて、常に優しい目で見守ってくださって」と仲の良さをうかがわせた。
本作で自身が演じた継之助について、役所は「自分の生きざまを見せて、それを若者たちが見て、どうやって生きていくかを、言葉というよりも生き方で残していったと思う」とコメント。そんな継之助について、永山は「どんな時代だろうが目上の人、先輩の背中を見て学んでいくことが大事だと思いますし、(自身が演じた)松蔵も継之助さんを近くで見ながら、自分の心を磨いていったと思う」と語った。
坂東は「(撮影時には)役者をはじめて間もない時期で、本当にこの道で合ってるのか少し迷いのある時期でもあったので、正太郎と重ね合わせる部分もあって、『好きなことをして生きていきなさい』という言葉が僕にとってはエールのようだった。それを役所さんが演じる河合継之助からいただけたのは僕にとっては大きなエールだったと思う」と明かし、撮影から時を経て、後輩俳優との現場も増えてきたことで、そのことが自身の現場でのあり方にも影響を与えているという。
「余分なことを削り取った生き方とか、日本人の習慣とか文化とか、そういうものがシンプルで伝えられる」と時代劇の魅力を語る役所は、「演じたり、見ることで学ぶことがたくさんある。時代劇ははっきり、くっきりと伝わってくk瑠」と明かした。
最後に役所は「この映画を劇場まで見に来てくださったお客様に心から感謝します。また劇場に見に来ていただきたい思いがあります。映画は一度では見きれない、見落とした部分がたくさんあると思います。この映画は見れば見るほど噛み締めるものがある気がします」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『峠 最後のサムライ』は公開中!
監督・脚本:小泉堯史
出演:役所広司、松たか子、香川京子、田中泯、永山絢斗/芳根京子、坂東龍汰、榎木孝明、渡辺大、AKIRA/東出昌大、佐々木蔵之介、井川比佐志、山本學、吉岡秀隆/仲代達矢
配給:松竹、アスミック・エース
©2020『峠 最後のサムライ』製作委員会