SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022の国内コンペティション長編部門上映作品『世の中にたえて桜のなかりせば』の上映後の舞台挨拶が7月21日(木)にSKIPシティ(埼玉県川口市)で行われ、本作の三宅伸行監督がリモートで参加、映画監督の外山文治が登壇した。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、“若手映像クリエイターの登竜門”として、映画界の未来を担う新たな才能の発掘を目的に2004年より毎年開催されてきた。第19回となる今回は、2019年以来となるスクリーン上映が行われるほか、昨年と一昨年に引き続き、オンライン配信も合わせて行われる。会期はスクリーン上映が7月16日(土)~24日(日)、オンライン配信が7月21日(木)~27日(水)に開催される。
イベントには、本作『世の中にたえて桜のなかりせば』で岩本蓮加(乃木坂46)とともにW主演を務めた宝田明さんが出演の映画『燦燦 -さんさん-』(2013)の外山文治監督が登壇。本作の三宅伸行監督もリモートで参加し、本作や宝田さんについてのトークが繰り広げられた。
2013年の本映画祭でも上映された『燦燦 -さんさん-』が監督デビュー作となった外山監督は「(当時と最新作で)全然変わらないと思ってすごいと思いました。こんな俳優はいないんじゃないか」と宝田明さんの劇中での姿を目にした感想を語り、「(遺作となった本作が)優しい映画なのが人となりをあらわしている」とコメントした。
本作での演技については「宝田さんの佇まいとか、演じられる独特の表現方法がスクリーンに映った時に心地よく感じる。自分の映画(『燦燦 -さんさん-』)の時もそうでした。ダンディさだったり、リアクションであったりが、今の若い俳優たちとちょっと違う持ち味」と、宝田さんが持つ力を改めて感じている様子。
本作ではエグゼクティブプロデューサーも務めている宝田さんについて「撮影に入るまでのやり取りが印象に残っています」という三宅監督は「宝田さんの戦争体験を入れたいという思いがありまして。押しつけがましい感じじゃなくて、気さくな宝田さんのスタンスで入れられないかと」と提案したという。
また、「一緒に脚本を作ってきたて、僕も率直に自分を思うことを話して、いい関係でやらせていただきました。宝田さんはサービス精神があって、シーンに華を添える方です。いつもアイデアを持ってきてくれるし楽しかったです。(アイデアを)断るのがもったいないなと思うこともあって。エンターテイナーです」という三宅監督。
宝田さんが亡くなったことを知った夜に、本作や『燦燦 -さんさん-』にも出演した吉行和子と会ったという外山監督は「サービス精神がある思い出しかないので、ニコニコしてしまう。『おもしろかったね』と。記憶の中で温かいものを残す方だと思います。今回の映画もその良さが表れていると思います」と語った。
さらに、三宅監督は宝田さんについて「映画に対する思いが強いといつも感じました。映画をもっと作りたいという思いが強い人で影響を受けました」と語り、「宝田さんみたいに一見ひょうひょうとしながらもすごい努力をしてきた方を見ると、自分も頑張らないと思います」と語った。
そして、外山監督は「(宝田さんは)文字通り(作品として)形に残されているので、新しく興味を持た方も掘り下げるための資料がたくさんあります。宝田さんに似ている俳優さんはいないです。新しい才能が現れた時に、また宝田さんを思い出さればいいなと思います」と改めて宝田さんの魅力を語った。
三宅監督は「宝田さんが亡くなった時に海外の友人からコメントが来たんです。日本映画を支えられていたというか、歴史的な方、ワールドワイドに活躍されていると改めて思いました。そういった方の最後の作品を監督できたことは光栄ですし、今後宝田さんの作品を見ていかれるときに、自分の作品もその中の一つとして見ていただけたら嬉しいです」と言い、「(本作を)改めて作品を見返すうちに、宝田さんの演技も、岩本蓮加さんの演技もそうですし、受け取り方がだんだん変わっていくので、それがおもしろいと思いました。この作品は人の成長がテーマで、見た人を元気づけられる作品でずっといてほしいなと思います」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022は[スクリーン上映]2022年7月16日(土)~7月24日(日)にSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ホール、多目的ホール(埼玉県川口市)、メディアセブン(埼玉県川口市)ほかで開催、[オンライン配信]7月21日(木)~7月27日(水)に配信!
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