『ぜんぶ、ボクのせい』の初日舞台挨拶が8月11日(木・祝)に新宿武蔵野館で行われ、白鳥晴都、川島鈴遥、松本まりか、オダギリジョー、松本優作監督が登壇した。
自主制作映画『Noise ノイズ』で世界中の映画祭を席巻した駿才・松本優作監督最新作。本作では日本の社会のリアルを見つめながら、孤独を抱えた3人の絆、そして1人の少年の成長を鮮烈に描き切る。主演を務めるのは、オーディションで選ばれた新人の白鳥晴都。瀬々敬久監督映画『とんび』で、スクリーンデビューを果たし、本作でも堂々とした瑞々しさ溢れる演技で存在感を発揮。ヒロインを演じる川島鈴遥はオダギリジョー監督『ある船頭の話』でヒロインに抜擢され、高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞した。若手2人を支えるのはオダギリジョー。本作では主人公が海辺で出会う軽トラで暮らすホームレスの役を自由自在に演じ切る。
冒頭からMCの音声が入らないハプニングがあるも、松本監督が機転を利かせて登壇者に挨拶を振り、川島は「衣装を見た松本監督が『セミみたい』って(笑)重い映画ではありますが、和気あいあいとした共演者のみなさんとのやり取りでほっこり楽しく今日を迎えられて嬉しく思います」と明かし、オダギリも「地獄のような空気でしたね」と笑いを誘うなど、チームワークの良さをうかがわせたキャスト陣。
本編の撮影から一年後に行われたという白鳥と川島が出演する主題歌「夢で逢えたら」MVの撮影を振り返り、「撮影前から楽しみにしていて、現場に入ると安心できる場所に戻ってきた感じがしました。松本監督のお人柄でアットホームな雰囲気で、川島さんもリードしてくれた」という白鳥。川島は「優しい空気が流れていて幸せな撮影でした」と明かした。
白鳥演じる優太の母親を演じる松本は「台詞はほとんど決めていなくて、段取りで“よーいドン”みたいな感じで生まれていって」と振り返り、「ネグレクトをする母親の心情は(台本を読んで)想像するだけでは本当に難しくて」と役どころの難しさを明かしたが、演じたことで「なんでネグレクトをする親が増え続けてしまうのかというのは、母親の感情に寄り添うことをあまりしない社会なのかな。非常にしづらいと思いますし、できないのは分かるんですけど、私が感じた複雑な感情は、母親だけを責めるということはできない…どうしてこの母親が生まれてしまったのかという社会や環境を考えることが大事なんだと実感しました」と語った。
仲野太賀とのシーンではアドリブが多かったというオダギリについて松本監督は「オダギリさんがアドリブをすると太賀さんの反応も変わってしまうので、太賀さんのセリフは変わらずに、オダギリさんがするから大丈夫と言っていたのがすごいと思いました」とオダギリのアドリブでの対応のすごさについて語った。また、「アイデアをいただいて、今の“おっちゃん像”になりました」という松本監督。これに「やり取りは台本通りでしたよね?」というオダギリだが、松本監督は「言い方とか絶妙な感じはやっぱり」と改めてオダギリのアドリブシーンを称賛した。
最後に松本監督は「日々生きていく中で感じたことを率直に描いた作品です。自分自身も今回の作品のことをあまりまだどういう作品なのか分からない部分があるんですけど、観ていただいた方々がいろいろと考えていただけると嬉しいです。素晴らしい役者さんの方々とご一緒できたので、そのお芝居を観ていただきたい」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『ぜんぶ、ボクのせい』は全国で公開中!
監督・脚本:松本優作
出演:白鳥晴都、川島鈴遥、松本まりか、若葉竜也、仲野太賀、片岡礼子、木竜麻生、駿河太郎/オダギリジョー
配給:ビターズ・エンド
© 2022『ぜんぶ、ボクのせい』製作委員会