『すべて忘れてしまうから』の配信直前イベントが9月8日（木）に都内で行われ、阿部寛、Chara、宮藤官九郎、岨手由貴子監督が登壇した。

次々と映像化される話題の作家の1人である燃え殻の同名エッセイを、ディズニープラス「スター」の日本発オリジナルドラマシリーズとしてドラマ化。ハロウィンの夜に突如姿を消した恋人をめぐる、ミステリアスでビタースイートなラブストーリーを描く。阿部寛演じる、大ヒット作もないまま小説を描き続けている地味で主体性がないミステリー作家“M”は、消えた恋人“F”を探すことに。しかし、次第に“F”の知らない顔や秘密があきらかになっていく…。そんな主人公Mが通う行きつけであり、ハロウィンの夜に彼女が消えた場所でもある、物語のキーとなる舞台“Bar 灯台”のオーナーを、26年ぶりの演技となり、ドラマ作品への出演も初となるCharaが演じ、同じバーで働く元バンドマンの料理人役を宮藤官九郎が務める。

イベントの冒頭では、未だ誰が演じているのか発表されていない、阿部演じる主人公“M”の恋人“F”より届いた手紙をMCが代読。「もっとお近づきになりたかったのですがその願いもかなわず」という“F”は「二度目の共演でうれしかったです」とヒントを残し、阿部は「明るい女優さん」を表現した。

恋人不在となるラブストーリーに「そこはすごくおもしろかったです。そこを中心に自分の気持ちに深く入っていったり、彼女のことを探ったり、そこがおもしろみになっている」という阿部。岨手監督も「待ち時間もスタッフと一緒にわいわいいろんなお話をさせていただいた」と和やかなムードで撮影が行われたことをうかがわせた。

ディズニープラスを通して全世界で配信される本作だが、阿部は「こだわりがある現場だった。セットもそうだし、すべてに対して丁寧に撮っている印象があって、そこに参加できたことが嬉しかった」と明かした。26年ぶりの映像作品への出演に「そんなに経ってる？みたいな。女優としては全然なのですが、今回音楽を愛する役柄ということで参加できた」と笑うCharaは「そのままで結構ですと（笑）」と共通している点もあった様子を見せた。

自身も監督・脚本家でもある宮藤だが「急にいなくなったというところからスタートしたらもっと必死に探したり、泣いたり叫んだりというドラマが作れると思うんだけど、主人公の先生があまり真面目に探している感じがしないのが楽しいなと。恋愛って意外と人から見たらそんなもんだよなと」と阿部演じる主人公の印象を語った。また、「街の風景がすごいいいんです。東京ってこういうところがあるんだなと。裏通りとか、何気ない歩いているだけのシーンがすごいきれいで、海外の人が観たらおもしろいんじゃないか」とポイントを挙げた。

本作に出演したことで身近な人について考えさせられたかについては「自分でこう考えているんだろうなということが意外と違ったりする部分がある」という阿部は、自身のマネージャーとのエピソードで「仕事の時は急いで食べるんだけど、その時は『自分のペースで食べていいよ』って言ったら倍くらい時間がかかって。今まで遠慮していたんだなと」と具体例を挙げ、笑いを誘った。

セットへのこだわりについて、「少し違う席に座ったら本物のように細部まできっちりできてるんです。閉まらなくてもいいような扉が完璧に作ってあって。嘘がない場所だったんです。薄暗いから気づかなくて、こんなに細部まで作ってたんだと」と驚きもあった様子の阿部。岨手監督は「カメラを置くことを想定した奥行きも作ってくださって、なんでこんなものがデザインできるんだろうとスタッフ全員感心しながら撮影しました」と明かした。

本作のバーのように、自身が行き詰った時に行く場所については「昔はバーでアルバイトをしていたくらい集まったりしていた。最近は目を閉じれば集中できる。おうちのキッチンが好きです」というChara。宮藤は「どこでも大丈夫です。ドラマの中の喫茶店は落ち着くと思いました。居心地がよかったです」とコメント。さらに、タイトルにかけて“忘れてしまったこと”を聞かれるとCharaは「だいたい人間は忘れる機能がついているから生きていけてると思うんですけど、フルに活用しているタイプ」と表現し、笑いを誘った。

最後に阿部は「最近僕はいろんなことが起きるドラマとかに出ていたんですけど、この作品で何気ない会話ができているんです。人は90％くらいそういう生活をしていて、人柄とかが見えてくるそういう作品だと思います。何気なさの中に、人のいろんな面が見えてくると思います。みなさんも振り返ってみたりしていただきたい」とメッセージを送った。

【写真・文／編集部】

『すべて忘れてしまうから』はディズニープラスのスターで2022年9月14日（水）より配信！
監督・脚本：岨手由貴子、沖田修一、大江崇允
主演：阿部寛、Chara、宮藤官九郎、大島優子、酒井美紀、渡辺大知、青木柚、鳴海唯、見栄晴、渡辺いっけい
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