両耳が聞こえないプロボクサーと、視力を失いつつあるトレーナーの交流を描いた映画『ケイコ 目を澄ませて』の予告編とポスタービジュアルが解禁された。

本作は、聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんをモデルに、彼女の生き方に着想を得て、三宅唱監督が生み出した物語。ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえない中、<目を澄ませて>闘うケイコの姿を、秀でた才能を持つ主人公としてではなく、不安や迷い、喜びや情熱など様々な感情の間で揺れ動きながらも一歩ずつ確実に歩みを進める等身大の一人の女性として描き、彼女の心のざわめきを16mmフィルムに焼き付けた。主人公・ケイコを演じた岸井ゆきのは、厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨み、新境地を切り開く。そして、ケイコの実直さを誰よりも認め見守るジムの会長に、日本映画界を牽引する三浦友和。その他、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中島ひろ子、仙道敦子など実力派キャストが脇を固める。ケイコの心の迷いやひたむきさ、そして美しさ。全てを内包した彼女の瞳を見つめているうちに、自然と涙が込み上げてくる――。

今回解禁された予告編で描かれるのは、主人公・ケイコの心のざわめきと、まなざし。噓がつけず愛想笑いが苦手なケイコは、生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえない。再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムを拠り所にする彼女は、トレーナーに「痛いのはきらい」と伝え思わず「正直やな」とツッコまれる。弟から気持ちを聞かれても、「どうせ人はひとりでしょ?」と突っぱねる。そんな不器用な彼女には悩みが尽きない。「一度お休みしたいです」そう、会長へしたためた手紙を渡すことができず、うまく伝えることのできない想いを心の中に溜めたまま、ある日、ジムが閉鎖されることになり――。

「逃げ出したい、でも諦めたくない」そんな矛盾した感情に葛藤しながら、ひたむきに生きるケイコと、彼女を案じて寄り添うまわりの人々を、三宅唱が16mmフィルムのあたたかな質感でやさしく切り取る。「才能はないけど、人間としての器量がある」誰よりもケイコの実直さを認めている会長とシャドーボクシングをするラストカットで、いまにも溢れ出しそうな涙をこらえながら拳を突き出す彼女の瞳は、観るものの心を掴んで離さない。

予告編

『ケイコ 目を澄ませて』は2022年12月16日(金)よりテアトル新宿ほか全国で公開!
監督:三宅唱
出演:岸井ゆきの、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中原ナナ、足立智充、清水優、丈太郎、安光隆太郎、渡辺真起子、中村優子、中島ひろ子、仙道敦子/三浦友和
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS