『マイ・ブロークン・マリコ』の公開直前イベントが9月19日(月・祝)に都内で行われ、永野芽郁、奈緒、タナダユキ監督が登壇した。

原作は、2019年にWEBコミック誌「COMIC BRIDGE」で連載され、今までにない斬新な物語設定と、みる者に投げかける答えの見つからない問いかけが、多くの読者をその世界に引き込んだ。映画では、タナダユキ監督の力強さと繊細さを兼ね備えた演出、永野芽郁のこれまでのイメージを大胆に覆す役柄と演技、そして原作の持つ物語の力がひとつになり、人間の儚さと逞しさが、優しく熱をもって描かれる。ともに生き、ともに旅をするシイノとマリコの物語が誕生した。 鬱屈した日々を送るOL・シイノトモヨ(永野芽郁)は、テレビのニュースで親友・イカガワマリコ(奈緒)が亡くなったことを知る。マリコの魂を救うために、マリコの実家から遺骨を強奪し逃走。マリコの遺骨を抱いて“ふたり”で旅に出ることに―。

原作者・平庫ワカ描き下ろしのお揃いのTシャツで登場した3人だが、Tシャツについてタナダ監督は「芽郁ちゃんと奈緒ちゃんなんですけど、シイノとマリコという感じがあって。でも芽郁ちゃんと奈緒ちゃんなんです」と笑顔を見せた。「もう公開か」と感慨深げな永野だが、撮影の中では「魂の叫びを体現するのが初めてだったので不安と緊張と焦りを抱えた」というシーンもあったといい、「(11月の撮影ではあるものの)『暑い暑い』と氷嚢をずっと当てていました」というほどの力を入れて臨んだと明かした。

タフなシーンもあったという2人だが「話し合うことはあまりなかったけど、マリコを演じる奈緒ちゃんは、心が一緒に壊れちゃうんじゃないかと心配になるシーンもあったので、一緒にいれるときはできるだけくっついたり。お互いを感じ合う時間を大事にした」と振り返る永野。奈緒は「芽郁ちゃんだからそばにいて欲しいというか。『そばにいてほしい?離れていたほうがいい?』と聞いてくれるんです。言葉がなくても手を触ってくれたり、ずっと肩の温かさを感じているだけで支えられる瞬間でした」と支え合った撮影の日々を振り返った。

シイノとマリコの関係性については「観る方によって関係性が変わってくる」というという永野は「依存し合う関係性ではなく、友情は超越しているだろうし、この2人ならではの関係性だと思う。こういう関係だよねという言葉は必要ないと思っちゃうのでこの2人の関係が続いていけばいいなと思って演じました」と特別な関係性だという。奈緒も「2人にしか分からない、2人の呼んでいる“シイちゃん”、“マリコ”という関係なんだと感じていて。愛が見えるというのは演じている中で感じていました」と語った。

ストレス発散については「撮影期間中は(役柄に合わせて)煙草を吸うのがストレス発散だった。吸ってスッキリする人の気持ちに近づこうと思って」と役柄と重ね合わせていたという。一方で「今はストレスがない。気づいてない」という永野は「おいしいものを食べておいしいお酒を食べて、友達と話して」と笑顔を見せた。奈緒も「毎日楽しいなと思っているんですけど、(ストレス解消法は)字を書くことです。頭の中の整理がつかなくなった時は、紙とペンを置いて、書くということが頭を整理して」と明かした。

この日も仲の良さをうかがわせる永野と奈緒だが、「奈緒ちゃん、本当に私のこと好きなんですよ(笑)」と笑う永野。奈緒は「舞台挨拶に一緒に立つのがほぼ初めてで。芽郁ちゃんとファンのみなさんの交流を見させていただく中で、芽郁ちゃんが本当にファンの方を大切にされていて。初めて見れて、やっぱり素敵だなと思う一面です。好きだなと思いました」と明かした。一方で永野は「奈緒ちゃんのスイッチが入った時の人の変わり方がすごい」といい「またパワーアップされていて幸せな時間でした」と笑顔を見せた。

さらに、イベントの終盤では9月24日に23歳の誕生日を迎える永野に、サプライズで奈緒から手紙を披露、タナダ監督からは花束がプレゼントされた。奈緒は“泣かないけど思いがこもった文”と言ったものの、奈緒からの思いがこもった手紙に永野は「どこが泣かない文なのよー」とあふれ出る涙が止まらない様子で、「愛にあふれたチームとご一緒できて幸せです」と笑みを浮かべた。

最後に「この作品がみなさん、そしてみなさんの大切な人にまで温かく届いてくれることを祈っています」、永野は「みんなでこの作品を作れたことに意味があると思います。映画館で大きなスクリーンで素晴らしい音響で見ることによってこの作品の生命力が伝わると思います。きっと誰かの救いになる作品ができました」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『マイ・ブロークン・マリコ』は2022年9月30日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開!
監督:タナダユキ
出演:永野芽郁、奈緒、窪田正孝、尾美としのり、吉田羊
配給:ハピネットファントム・スタジオ、KADOKAWA
©2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会