10月24日(月)に開幕する第35回東京国際映画祭のラインナップ発表記者会見が9月21日(水)に都内で行われ、フェスティバル・アンバサダーに就任した橋本愛らが登壇した。

昨年からメイン会場を日比谷・有楽町・銀座エリアに移し、プログラミング・ディレクターも替わり大きな進化を果たした東京国際映画祭。今年は会場を大幅な拡大、10月24日(月)のオープニングセレモニーを初の会場となる東京宝塚劇場で行うほか、クロージングセレモニーは東京国際フォーラム ホールCで実施。さらに上映劇場は昨年の角川シネマ有楽町、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ有楽町、TOHOシネマズシャンテ、有楽町よみうりホールに加えて、TOHOシネマズ日比谷、丸の内TOEI、丸の内ピカデリーの大型劇場でも上映、これにより上映本数も拡大される。

会見には、フェスティバル・アンバサダーに就任した橋本愛、コンペティション部門に出品される今泉力哉監督(『窓辺にて』)、福永壮志監督(『山女』)、松永大司監督(『エゴイスト』)、安藤裕康(東京国際映画祭チェアマン)、市山尚三(プログラミング・ディレクター)、石坂健治(シニア・プログラマー)、藤津亮太(「ジャパニーズ・アニメーション部門」 プログラミング・アドバイザー)が登壇した。

2年連続でフェスティバル・アンバサダーを務める橋本は、「ありがたいことですし、光栄です」と喜びを表現。「去年はワクワクするという興奮を発信していた。今年はもうちょっと自分にできることはないかと考えた時に、日本の映画界に立ちはだかる課題への気持ちをお話しできたらと思います。ハラスメントや、労働環境の事だったり、いろんな問題があると思うことがあって」と話す橋本。

「一番感じるの世代間の溝。積み重ねてきたものを守り抜いていこうとか、功績に誇りを持ってモノづくりに関わっているという姿勢は素晴らしいものだと思うんですけど、一方で若い人たちの声を聞こうという姿勢、もう少しお互いに声を聞き合う姿勢がモノづくりにおいて大事なことなんじゃないかと思います」と自身の思いを語った。

また、「若い世代も声を押し殺されることに、諦めてしまいそうなところをめげずに意見を伝えていく。表現方法を鍛えて、自分の中にあるものを伝わるように伝えるスキルを磨いていくことが大事」という。さらに「今よりもっと素敵な映画を作る、モノづくりの環境になったら」と期待を込めた。

昨年の東京国際映画祭については「海外の監督と女優とお話しする機会があり、自分の語学力の拙さに絶望しながら(笑)、芸術を通してつながるコミュニケーションも、歩みが遅いながらも力を身につけていかなければいけないんだなと考えさせてくれたきっかけにありました」と振り返った。

また、「映画そのものだったり、映画祭そのものについても考えるきっかけになった」という橋本は「歴史や伝統を守っていく姿勢は美しいし素晴らしいですけど、守り抜く過程でこぼれ落ちてしまう人はたくさんいて、苦しみや悲しみに寄り添ってモノを作っていくのが映画ですし、芸術だと思う」と考えを明かし、「またとない機会で、改めて世界を見渡して、今の日本の素敵なところ、改善したらいいところを改めて見つめ直せたら」とコメントした。

自身が映画作品を見る基準については「ポスタービジュアルがすごく好きで、出演者の方が出そろっているポスターも好きですけど、映画のイメージや一場面を一つの写真で表現されているポスターを見ると“きっとこだわって作られたんだろうな”と感じる」と語った。

また、2年目のアンバサダーとなる今年は「青山真治監督の特集上映は足を運べたらと思っています。すごく好きな監督ですし、いつかご一緒したいという監督だったので映画館で見られる機会としてはぜひ行きたい」と語った。

【写真・文/編集部】

第35回東京国際映画祭は2022年10月24日(月)~11月2日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催